高齢者の一人暮らしは危険?潜む5大リスクと今日からできる見守り・防犯対策、安心の住まい選び
高齢者の一人暮らしを安心・安全にする方法|住まいと見守りのポイント

「離れて暮らす親、一人で本当に大丈夫だろうか…?」
「最近、少し物忘れが増えた気がする…」
そんなふうに、大切なご家族のことを想い、胸がざわつく瞬間はありませんか。
高齢者の一人暮らしは、ご本人にとっては自由で気ままである一方、予期せぬリスクも潜んでいます。
この記事では、高齢者の一人暮らしに潜む具体的な危険から、今日からすぐに始められる見守り・防犯対策、そして将来を見据えた安心できる住まいの選択肢まで、あなたの不安を解消するための情報を網羅的に解説します。
大切な家族が、そしてあなた自身が、安心して毎日を送るための羅針盤として、ぜひ最後までお読みください。
はじめに:増加する高齢者の一人暮らしとその背景

今、日本全体で高齢者の一人暮らしが急速に増えています。
内閣府の調査によると、65歳以上の一人暮らしの数は、2020年時点で約700万人にのぼり、男女ともに増加傾向です。
この背景には、夫婦のどちらかが先に亡くなるケースや、子どもたちが独立して都市部へ移り住む「核家族化」の進行があります。また、昔に比べて健康で元気な高齢者が増えたことも、一人暮らしを選ぶ方が増えている理由の一つでしょう。しかし、自由で自立した生活の裏側には、見過ごせない不安や危険が隠れているのも事実なのです。
高齢者の一人暮らしに潜む5つの深刻なリスク

「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、思わぬところで危険は待ち構えています。
ここでは、高齢者の一人暮らしに潜む代表的な5つのリスクを具体的に見ていきましょう。これらのリスクを知ることが、適切な対策を考える第一歩になります。
ご自身の親御さんの状況と照らし合わせながら、確認してみてください。
【健康・生活面】急な体調不良や孤独死の危険性
高齢になると、急な体調の変化が起こりやすくなります。
例えば、冬場の入浴中に起こるヒートショックや、ちょっとした段差での転倒による骨折は、誰にでも起こりうる危険です。
もし一人の時に倒れてしまい、助けを呼べなかったら…と考えると、とても心配ですよね。発見が遅れることで、最悪の場合「孤独死」につながるケースも少なくありません。
定期的な安否確認の仕組みがないと、こうした深刻な事態を招くリスクが高まってしまいます。
【防犯面】空き巣や詐欺など犯罪の標的になりやすい
残念ながら、高齢者の一人暮らしは犯罪者に狙われやすい傾向があります。
「日中は一人きり」「力が弱く抵抗されにくい」といった理由から、空き巣や強盗のターゲットになることがあります。また、巧みな言葉で不安を煽り、高額な商品を売りつけたり、お金をだまし取ったりする特殊詐欺や悪質な訪問販売の被害も後を絶ちません。
「自分は絶対にだまされない」という自信が、かえって危険を招くこともあるのです。
【金銭面】判断能力の低下による資産管理の不安
年齢とともに、お金の管理が難しくなることがあります。
例えば、通帳や印鑑をどこに置いたか忘れてしまったり、公共料金の支払いをうっかり忘れてしまったりすることもあるでしょう。
さらに心配なのは、判断能力の低下につけ込まれ、不要な保険や高額なリフォームの契約をしてしまうケースです。大切に守ってきたはずの資産が、気づかないうちに減ってしまうという事態は、なんとしても避けたいですよね。
【精神・社会面】社会からの孤立による心身への影響
一人暮らしで人と話す機会が減ると、社会からの孤立を感じやすくなります。
会話が減ることは、脳への刺激が少なくなり、認知機能の低下につながる可能性も指摘されています。
「誰とも話さない日が続く」という孤独感は、気分の落ち込みやうつ状態を引き起こすことも。心と体の健康は密接につながっているため、社会的な孤立は、心身両面に深刻な影響を与えかねない、見過ごせないリスクなのです。
【災害面】いざという時の避難や情報収集の困難さ
地震や台風、大雨などの災害が起きたとき、一人で迅速に避難できるでしょうか。
足腰が弱っていると、素早く安全な場所へ移動するのは大変です。また、スマートフォンやパソコンの操作が苦手な場合、自治体からの避難情報などをリアルタイムで受け取ることが難しくなります。
いざという時に正確な情報が手に入らず、避難が遅れてしまう危険性は、一人暮らしの高齢者が抱える大きな課題の一つといえるでしょう。
いつまで一人暮らしは可能?心と体の健康寿命が目安
「いったい、何歳まで一人で暮らせるのだろう?」
これは、ご本人もご家族も抱く切実な疑問だと思います。
実は「何歳まで」という明確な年齢の線引きはありません。大切なのは、年齢という数字ではなく、心と体がどれだけ健康かを示す「健康寿命」です。
具体的には、食事や着替え、トイレといった身の回りのことが自分でできるか、買い物や掃除、金銭管理といった少し複雑なことができるかが一つの目安になります。
これらの日常動作に不安が出てきたら、今後の暮らし方について家族で話し合うタイミングかもしれません。
自宅で安心して暮らすために|今日からできる見守り・防犯対策

今の住まいで、できるだけ長く、そして安心して暮らし続けるためには、早めの対策が不可欠です。
ここでは「費用をかけない習慣づくり」「最新テクノロジーの活用」「人の目によるサービス」という3つのステップに分けて、今日からできる具体的な対策をご紹介します。
できることから一つずつ始めてみましょう。
STEP1:費用をかけずに実践できる7つの防犯習慣
まずは、お金をかけずに、日々の習慣を見直すことから始めましょう。
小さな心がけの積み重ねが、犯罪やトラブルを未然に防ぐ大きな力になります。すぐに取り組めることばかりなので、ぜひ今日から実践してみてください。
玄関や窓の施錠を徹底する
「ゴミ出しに行くだけ」「すぐ戻るから」といった油断が一番危険です。
たとえ短い時間であっても、家を離れる際は必ず玄関や窓の鍵をかける習慣をつけましょう。就寝前の施錠確認も忘れずに行ってください。
近隣住民との良好な関係を築く
日頃からご近所さんと挨拶を交わし、良好な関係を築いておくことは、最高の防犯対策になります。
地域の目がお互いの家を見守ることで、不審者が近づきにくくなります。いざという時に助け合える関係づくりは、大きな安心につながります。
来訪者はドアチェーン越しに確認する
インターホンが鳴っても、すぐにドアを開けてはいけません。
まずはドアチェーンをかけたまま、相手の身分や用件を確認する癖をつけましょう。知らない相手や少しでも怪しいと感じたら、きっぱりと断ることが大切です。
表札や洗濯物で家族構成を悟らせない
表札に家族全員の名前を書いたり、女性ものの洗濯物だけを外に干したりすると、「一人暮らし」や「日中は女性だけ」といった情報を犯罪者に与えてしまいます。
表札は苗字だけにするなど、プライバシーを守る工夫をしましょう。
定期的な連絡で安否確認を行う
離れて暮らす家族とは、毎日決まった時間に電話をするなど、連絡を取り合うルールを決めておきましょう。
たわいもない会話が心のリフレッシュになるだけでなく、もし電話に出なければ「何かあったのかも」と、すぐに異変に気づくことができます。
ゴミ出しの時間や様子に注意を払う
ゴミ出しのルールが守られていなかったり、何日も新聞が溜まっていたりするのは、外部から見て「何か異変があったのでは?」と推測されるサインになります。
日々の生活リズムを保つことも、防犯や安否確認の観点から重要です。
「自分は大丈夫」という過信を捨てる
「自分は詐欺に遭わない」「うちは狙われない」といった思い込みが、最も危険です。
自分も犯罪のターゲットになる可能性があるという意識を常に持ち、用心深く行動することが、自分自身の身を守るための第一歩になります。
STEP2:テクノロジーを活用した最新の見守り・防犯術
日々の習慣に加えて、便利なテクノロジーを活用することで、安心・安全のレベルをさらに高めることができます。
最近では、設置が簡単で費用も手頃な製品が増えています。離れていても家族を見守れる、心強い味方になってくれるでしょう。
人感センサーライトで侵入者を威嚇
玄関や庭先に人感センサー付きのライトを設置するのは、手軽で効果的な防犯対策です。
人が近づくとパッと明かりがつくため、夜間に潜む不審者を驚かせ、侵入を諦めさせる効果が期待できます。
防犯意識の高さをアピールすることにもつながります。
見守りカメラで離れていても様子を確認
室内に設置する見守りカメラを使えば、離れて暮らす家族がスマートフォンなどからいつでも室内の様子を確認できます。
会話機能付きのカメラなら、映像を見ながら声かけも可能。安否確認とコミュニケーションが同時にできる、とても便利なツールです。
窓用防犯フィルムや補助錠で物理的に強化
空き巣の侵入経路で最も多いのが窓です。
窓ガラスに防犯フィルムを貼ることで、ガラスを割られにくくすることができます。
さらに、サッシに補助錠を取り付ければ、ロックが二重になり、侵入に時間がかかるため、犯行を諦めさせる効果が高まります。
緊急通報ボタン付きの見守りサービス
急な体調不良や転倒など、もしもの時にボタン一つで警備会社や家族に知らせることができるサービスです。
ペンダント型や腕時計型など、常に身につけておけるタイプが人気です。
いざという時に助けを呼べるという安心感は、何物にも代えがたいものです。
STEP3:「人の目」による見守りサービスを検討する
テクノロジーだけでは補えない部分を、「人の目」によるサービスで補うことも重要です。
専門家や地域の人々による定期的な訪問は、安否確認だけでなく、孤独感の解消にもつながります。
公的なものから民間のものまで、様々なサービスがあります。
自治体や社会福祉協議会の見守り活動
多くの市区町村では、高齢者の一人暮らしを支援するための見守り活動を行っています。
例えば、地域のボランティアが定期的に訪問したり、電話で安否確認をしたりするサービスです。
費用が安価な場合が多いので、まずはお住まいの地域の窓口に相談してみましょう。
民間の生活支援・配食サービス
栄養バランスの取れたお弁当を毎日届けてくれる配食サービスは、食事の準備の負担を減らすだけでなく、配達員が毎日顔を合わせることで安否確認の役割も果たしてくれます。
買い物代行や簡単な掃除など、生活全般をサポートしてくれるサービスもあります。
訪問介護・看護サービスの利用
介護保険を利用して、ホームヘルパーや看護師に自宅へ訪問してもらうサービスです。
身の回りの世話や健康管理のサポートを受けることで、自宅での生活をより長く、安全に続けることが可能になります。
専門家による定期的な訪問は、家族にとっても大きな安心材料です。
警備会社のホームセキュリティ
警備会社が提供するホームセキュリティは、防犯だけでなく、火災やガス漏れ、急な体調不良など、様々な異常を24時間365日監視してくれるサービスです。
万が一の際には、警備員が駆けつけてくれるため、非常に心強い存在といえるでしょう。
今の住まいが不安なら|安心できる住まい探しの選択肢
自宅での対策だけでは不安が解消されない場合や、将来的に介護が必要になった時のことを考えると、より安心できる環境への住み替えも有効な選択肢の一つです。
高齢者向けの住まいには様々な種類がありますので、それぞれの特徴を理解し、ご本人の希望や心身の状態に合った場所を選びましょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
比較的お元気な方向けの、バリアフリー対応の賃貸住宅です。
安否確認や生活相談サービスが義務付けられており、自由な暮らしと安心感を両立できるのが特徴です。食堂や交流スペースが設けられている物件も多く、他の入居者と交流を楽しむこともできます。
高齢者向け賃貸住宅
高齢者が入居しやすいように配慮された一般的な賃貸住宅です。
多くがバリアフリー設計になっており、物件によっては見守りサービスが付いている場合もあります。サ高住よりも費用が抑えられる傾向にありますが、サービスの内容は物件ごとに異なるため、よく確認が必要です。
シニア向け分譲マンション
一般的な分譲マンションに、レストランや大浴場、フィットネスジムといった共用施設が充実しているのが特徴です。アクティブに生活を楽しみたいお元気な高齢者層に人気があります。
資産として所有できる一方、管理費などのランニングコストや初期費用は高めになる傾向があります。
住宅型有料老人ホーム
食事サービスや掃除・洗濯といった生活支援サービスを受けながら、比較的自立した生活を送れる施設です。
介護が必要になった場合は、外部の訪問介護サービスなどを利用します。
多くの施設でレクリエーションが活発に行われており、日々の生活に楽しみや刺激を求める方にも向いています。
知っておきたい高齢者の一人暮らしにかかる費用

高齢者の一人暮らしには、一体どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
総務省の家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯の平均的な消費支出は、月に約14万円となっています。
内訳は、食費、住居費、光熱費、保健医療費、交際費などです。これはあくまで平均であり、持ち家か賃貸か、都市部か地方かによって大きく異なります。
ここに、先ほど紹介した見守りサービスの利用料や、将来的な介護費用、住み替え費用なども考慮して、早めに資金計画を立てておくことが大切です。
まとめ:親子で話し合い、早めに備えることが安心への第一歩
高齢者の一人暮らしには、健康、防犯、孤立など、様々なリスクが潜んでいます。
しかし、これらのリスクは、正しい知識を持ち、一つひとつ対策を講じることで、大きく減らすことが可能です。費用をかけない日々の習慣から、テクノロジーや専門サービスの活用、そして将来を見据えた住み替えまで、選択肢はたくさんあります。
何よりも大切なのは、親子で、そしてご家族で、オープンに話し合うことです。
「まだ元気だから大丈夫」と先延ばしにするのではなく、「元気なうちだからこそ、これからのことを一緒に考えよう」という前向きな姿勢で、コミュニケーションをとってみてください。
この記事が、あなたとあなたの大切な家族が、未来への安心を築くための第一歩となることを心から願っています。