サ高住の費用はいくら?初期費用・月額料金の相場と内訳、有料老人ホームとの違いを解説
サ高住の初期費用・月額料金を徹底解説!相場と内訳、有料老人ホームとの違いを比較

「そろそろ親の将来が心配…」「自分が高齢になったときの住まいを考えたい」
そんなとき、選択肢のひとつとして注目されるのが「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」です。しかし、いざ検討しようとすると「結局、全部でいくらかかるの?」「年金だけで暮らせる?」といった費用の疑問が次々と浮かんでくるのではないでしょうか。
この記事では、サ高住の費用に関するあらゆる疑問を解消します。初期費用や月額料金の全国的な相場から、その詳しい内訳、有料老人ホームとの違いまで、誰にでもわかるように丁寧に解説します。この記事を最後まで読めば、あなたに合った資金計画を立て、安心してサ高住選びを進めることができるようになります。
まずは基本から|サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、かんたんに言うと「高齢者の暮らしをサポートするサービスが付いた、バリアフリー対応の賃貸住宅」のことです。一般的な賃貸住宅と同じように自由な生活を送りながら、専門スタッフによる「安否確認」や「生活相談」といったサービスを受けられるのが大きな特徴。一人暮らしの不安を解消し、安心して毎日を過ごせる住まいとして人気を集めています。
一般型:必要な介護サービスを外部で契約
サ高住の多くがこの「一般型」です。ここでは、安否確認や生活相談といった基本的なサービスが提供されます。介護が必要になった場合は、自分でケアマネジャーに相談し、外部の訪問介護サービスなどと個別に契約する仕組みです。まだ介護の必要性が低い方や、使い慣れたデイサービスを続けたい方など、自分に必要なサービスを自由に選びたい方に向いているでしょう。
介護型:施設から定額で介護サービスを提供
「介護型」は、施設のスタッフが食事や入浴の介助といった介護サービスを直接提供してくれるタイプです。「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているため、要介護度に応じた定額料金で手厚いサポートを受けられます。介護の必要性が高い方や、将来的に介護度が上がっても同じ場所で暮らし続けたい、という方に安心の選択肢となります。
【全国平均】サ高住の費用相場はいくら?

サ高住への入居を考えたとき、最も気になるのが費用ですよね。サ高住の費用は、大きく分けて入居時に支払う「初期費用」と、毎月支払う「月額利用料」の2種類があります。ここでは、それぞれの全国的な費用相場を見ていきましょう。あくまで目安として参考にしてください。
初期費用(入居時費用)の相場
サ高住の初期費用は、0円~数十万円が相場です。
一般的な賃貸住宅と同じように敷金を設定している施設が多く、その場合の相場は家賃の2~3ヶ月分ほど。中には、入居一時金として数百万円以上かかる施設もありますが、全体的には有料老人ホームなどと比較して初期費用を抑えやすい傾向にあります。
月額利用料の相場
月額利用料の全国的な相場は、約10万円~30万円です。
この金額には、家賃や管理費、基本的なサービス費が含まれています。ただし、食費や水道光熱費、介護サービスを利用した場合の費用などは別途必要になることがほとんど。都市部では家賃が高くなるなど、立地やサービス内容によって金額は大きく変わります。
サ高住にかかる費用の詳しい内訳
「相場はわかったけど、そのお金は何に使われるの?」と感じた方も多いはずです。納得して入居するためには、費用の内訳をしっかり理解しておくことが大切。ここでは、初期費用と月額利用料にそれぞれ何が含まれているのか、詳しく解説していきます。
入居時に支払う「初期費用」の内訳
初期費用は、施設によって呼び方や仕組みが異なります。契約書をよく確認し、それぞれの費用がどのような性質のお金なのかを把握しておきましょう。主に、以下の3つに分けられます。
敷金
一般的な賃貸住宅の敷金と同じ役割を持つお金です。家賃の滞納があった場合の支払いに充てられたり、退去時の原状回復費用(部屋の修繕やクリーニング代)として使われたりします。使われなかった分は、退去時に返還されるのが原則です。
保証金
保証金も敷金と似た性質を持つお金で、主に家賃滞納や損害賠償に備えるために預けます。敷金との大きな違いはなく、施設によって呼び方が異なると考えてよいでしょう。こちらも、退去時に未払いなどがなければ返還されます。
前払金(入居一時金)
一部の施設で設定されている費用で、家賃の一部または全部を前払いするためのお金です。「家賃相当額」として、数年分の費用をまとめて支払うイメージ。この前払金を支払うことで、月々の家賃負担を軽くできるメリットがあります。
毎月支払う「月額利用料」の内訳
月々の支払いは、毎月決まった額を支払う「固定費」と、利用状況によって変動する「変動費」に分かれています。自分がどれくらいサービスを利用するかをイメージしながら確認することが、正確な費用を把握するコツです。
固定でかかる費用(家賃・管理費など)
これらは、毎月必ず発生する基本的な費用です。
- 家賃: 居室の賃料です。立地や部屋の広さ、設備によって金額が変わります。
- 管理費: 共用部分(廊下や食堂など)の維持管理や水道光熱費、事務費用などに使われます。
- 基本サービス費: 安否確認や生活相談サービスの対価として支払う費用です。
変動する費用(食費・介護サービス費など)
こちらは、個人の生活スタイルや必要に応じて変わる費用です。
- 食費: 施設が提供する食事を利用した場合にかかります。食べた分だけ支払う形式や、月額固定の形式があります。
- 水道光熱費: 居室で使った電気代や水道代です。管理費に含まれる施設と、個別で支払う施設があります。
- 介護サービス費: 外部の訪問介護などを利用した場合、利用した分だけ自己負担が発生します。
- その他: 医療費、おむつ代、日用品費、レクリエーションの参加費など。
自分に合うのはどっち?サ高住の2つの支払い方法

サ高住の費用支払い方法には、主に「月払い方式」と「前払い方式」の2種類があります。どちらの方式が自分に合っているかは、現在の資産状況や将来の資金計画によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、無理のない支払い方法を選びましょう。
月払い方式:初期費用を抑えたい方向け
月払い方式は、一般的な賃貸住宅と同じように、入居時に敷金を支払い、その後は毎月家賃などを支払っていく方法です。高額な入居一時金が不要なため、初期費用を大幅に抑えられるのが最大のメリット。手元にまとまった資金がなくても入居しやすいのが特徴です。ただし、その分、毎月の支払い額は前払い方式に比べて高くなる傾向があります。
前払い方式:月々の負担を軽くしたい方向け
前払い方式は、入居時に数年分の家賃に相当する「前払金(入居一時金)」をまとめて支払う方法です。この方式のメリットは、月々の家賃負担が軽くなること。年金の範囲内で月々の支払いを収めたい、と考えている方に向いています。一方で、初期費用が高額になるため、ある程度のまとまった資金が必要になる点がデメリットと言えるでしょう。
サ高住と有料老人ホーム、費用やサービスの違いを比較
高齢者向け住宅を検討する際、よく比較されるのが「サ高住」と「有料老人ホーム」です。この2つは似ているようで、契約形態やサービス内容、そして費用にも違いがあります。どちらが自分に合っているかを見極めるために、それぞれの特徴を比べてみましょう。
費用の違い:初期費用はサ高住が安い傾向
最も大きな違いは初期費用に表れます。サ高住の多くは敷金のみで入居できるため、初期費用は0円~数十万円と比較的安価です。
一方、有料老人ホームは「入居一時金」が必要な施設が多く、その額は0円から数千万円、場合によっては1億円を超えることも。もちろん、施設によって差はありますが、初期費用をできるだけ抑えたい場合は、サ高住のほうが選択肢は多くなるでしょう。
サービス内容の違い
サービス内容にも明確な違いがあります。
- サ高住: 基本は「安否確認」と「生活相談」です。介護サービスは外部事業者と個別に契約するため、必要なサービスを自由に選べるのが特徴。契約形態は「賃貸借契約」で、住まいの自由度が高いです。
- 有料老人ホーム: 介護、食事、生活支援など、包括的なサービスが施設から提供されます。24時間スタッフが常駐している施設も多く、手厚い介護を受けたい方に適しています。契約形態は「利用権契約」が一般的です。
契約前に確認!サ高住の費用に関する3つの注意点

サ高住の契約は、人生の大きな決断のひとつ。後悔しないためには、契約前に費用に関する注意点をしっかり押さえておくことが重要です。見学時や契約時には、これから紹介する3つのポイントを必ず確認するようにしてください。
注意点①:要介護度が上がると月額費用も高くなる
入居時に自立していても、将来的に介護が必要になる可能性は誰にでもあります。サ高住(特に一般型)では、介護サービスは使った分だけ費用がかかります。つまり、要介護度が上がり、利用するサービスの量が増えると、月額費用もそれに伴って高くなるのです。現在の費用だけでなく、将来介護が必要になった場合の費用シミュレーションも行っておくと安心です。
注意点②:将来的な退去の可能性と返還金
前払金(入居一時金)を支払う場合は、そのお金がどのように扱われるのかを必ず確認しましょう。特に重要なのが「返還金」のルールです。
- 初期償却: 入居後すぐに一定割合が差し引かれる仕組み。
- 償却期間: 何年で前払金がゼロになるかという期間。
もし償却期間の途中で退去した場合、未償却分が返還されるのが一般的です。契約書をよく読み、返還金の計算方法を理解しておきましょう。
注意点③:不当な「介護サービスの囲い込み」に気をつける
サ高住のメリットは、必要な介護サービスを自分で自由に選べる点にあります。しかし、一部の施設では、自社や関連会社の介護サービスを利用するように過度に勧めたり、実質的に利用を強制したりする「囲い込み」が行われるケースも。見学時に、他の事業者のサービスも利用できるかを確認し、自由な選択が保障されているかを見極めることが大切です。
サ高住の費用に関するよくある質問
ここでは、サ高住の費用に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q. 年金の範囲内で入居できますか?
A. はい、年金の範囲内で入居できるサ高住も数多くあります。
そのためには、初期費用が不要な「月払い方式」の施設を選んだり、家賃が比較的安い郊外の施設を検討したりするのがポイントです。また、食事を自炊に切り替えるなど、月々の変動費を抑える工夫も有効。ご自身の年金受給額と施設の月額費用を照らし合わせ、無理のない資金計画を立てましょう。
Q. 夫婦で入居する場合の費用は?
A. 夫婦で入居できる2人部屋を備えたサ高住もあります。
費用は、1人部屋を2つ借りるよりも割安になるケースがほとんどです。月額費用は、家賃は1部屋分ですが、管理費や食費は2人分かかるのが一般的です。目安としては、1人で入居する場合の1.5倍~1.8倍程度と考えておくとよいでしょう。詳しい料金体系は施設によって異なるため、直接問い合わせて確認してください。
Q. 生活保護を受けていても入居は可能ですか?
A. はい、生活保護を受給している方を受け入れているサ高住もあります。
ただし、すべての施設が入居可能なわけではありません。生活保護費の住宅扶助の範囲内で家賃が収まる施設を探す必要があります。まずは、お住まいの自治体の担当者(ケースワーカー)やケアマネジャーに相談し、受け入れ可能な施設の情報を提供してもらうことから始めましょう。
まとめ:サ高住の費用は内訳を理解し、将来を見据えた資金計画を
今回は、サ高住の費用について、相場から内訳、注意点まで詳しく解説しました。
サ高住の費用は、初期費用が0円~数十万円、月額利用料が10万円~30万円がひとつの目安です。しかし、大切なのはその金額の内訳を正しく理解し、ご自身の状況に合った施設と支払い方法を選ぶこと。そして、今現在の費用だけでなく、将来介護が必要になった場合のことも見据えて、長期的な視点で資金計画を立てることが、安心して豊かなセカンドライフを送るための鍵となります。
まずは気になる施設をいくつかピックアップし、資料請求や見学をしてみましょう。実際に足を運び、スタッフや入居者の雰囲気を感じることで、より具体的な生活をイメージできるはずです。この記事が、あなたのサ高住選びの第一歩となれば幸いです。