【高齢者施設の種類一覧】あなたに合うのは?費用・特徴を徹底比較&選び方の全知識
高齢者施設の種類が多すぎてわからない?特徴・費用から選び方まで専門家が徹底解説

「親に介護が必要になったけど、どんな施設があるの?」「特養と有料老人ホームって何が違うんだろう…」。いざ高齢者施設を探し始めると、種類の多さや専門用語の難しさに戸惑ってしまいますよね。費用やサービスも千差万別で、何から比べれば良いのか分からなくなるのも当然です。
この記事では、そんな悩みを抱えるあなたのために、複雑な高齢者施設の種類をわかりやすく解説します。それぞれの施設の特徴や費用、メリット・デメリットを徹底比較。さらに、あなたにピッタリの施設がわかる簡単診断や、後悔しないための選び方のコツまで、必要な情報をすべて詰め込みました。
この記事を読めば、施設選びの不安が解消され、最適な一歩を踏み出せるはずです。
まずは一覧で比較!9つの高齢者向け施設の特徴と費用の違い
高齢者向けの施設は、大きく分けて「公的施設」と「民間施設」の2種類があります。公的施設は費用が比較的安い傾向にありますが、入居待ちが発生しやすいのが特徴です。一方、民間施設は費用が高めですが、サービスの選択肢が豊富で入居しやすいというメリットがあります。まずは、代表的な9つの施設がどのような場所なのか、全体像をざっくりとつかんでおきましょう。それぞれの施設の詳しい解説は、後ほどじっくりと行いますので安心してくださいね。
| 施設の種類 | 運営元 | 特徴 | 費用の目安(月額) |
|---|---|---|---|
| 【公的施設】 | |||
| 特別養護老人ホーム(特養) | 公的 | 手厚い介護が受けられ、終身利用も可能。 | 8〜15万円 |
| 介護老人保健施設(老健) | 公的 | 在宅復帰を目指すリハビリが中心。 | 10〜16万円 |
| 介護医療院 | 公的 | 医療ケアと介護を同時に受けられる。 | 10〜18万円 |
| ケアハウス(軽費老人ホーム) | 公的 | 自立した生活を支援。食事サービス付き。 | 6〜17万円 |
| 【民間施設】 | |||
| 介護付き有料老人ホーム | 民間 | 24時間体制の介護サービスで安心。 | 15〜35万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 民間 | 必要な介護サービスを外部で契約。自由度が高い。 | 12〜30万円 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 民間 | 安否確認と生活相談が基本。賃貸に近い。 | 10〜25万円 |
| グループホーム | 民間 | 認知症の方が少人数で共同生活を送る。 | 12〜20万円 |
| シニア向け分譲マンション | 民間 | 自宅同様の所有権。見守りや生活支援付き。 | 15〜40万円以上 |
※費用はあくまで目安です。お住まいの地域や施設の設備、要介護度によって変動します。
あなたに最適な施設は?3ステップでわかる簡単セルフ診断

たくさんの施設があることは分かりましたが、「じゃあ、うちはどれを選べばいいの?」と迷ってしまいますよね。そこで、ご自身やご家族の状況を整理するための簡単な診断を用意しました。3つのステップに答えていくだけで、どんなタイプの施設が合っているのか、大まかな方向性が見えてきますよ。
【ステップ1】今の健康状態・介護度は?
まず最も大切なのが、ご本人の心身の状態です。介護が必要か、必要ならどの程度なのかによって、選ぶべき施設は大きく変わってきます。
- A:身の回りのことは自分でできる(自立)
- B:少し手助けがあれば生活できる(要支援1〜2)
- C:常に誰かの介護が必要(要介護1〜5)
- D:医療的なケアが欠かせない
→ AやBの方は選択肢が豊富です。Cの方は介護サービスが充実した施設、Dの方は医療体制が整った施設が候補になります。
【ステップ2】入居後の暮らし方の希望は?
次に、施設でどのような生活を送りたいかを考えてみましょう。プライバシーを重視するのか、他の入居者との交流を楽しみたいのかで、適した環境は異なります。
- A:プライバシーを確保し、自室で静かに過ごしたい
- B:レクリエーションやイベントに積極的に参加したい
- C:外出や外泊を自由にして、アクティブに暮らしたい
- D:認知症があっても、家庭的な雰囲気で穏やかに過ごしたい
→ AやCなら個室で自由度の高い施設、Bなら共用設備が充実した施設、Dならグループホームなどが向いています。
【ステップ3】費用や特別なケアの必要性は?
最後に、お金のことや特別な要望について確認します。予算は、施設選びの重要なカギを握ります。
- A:できるだけ費用を抑えたい
- B:初期費用(入居一時金)は払えるが、月額は抑えたい
- C:費用はかかっても、手厚いサービスや豪華な設備を希望する
- D:将来、看取り(人生の最期を施設で迎えること)までお願いしたい
→ Aなら公的施設、Cなら民間の高級ホームが視野に入ります。Dを希望する場合は、看取り対応が可能かどうかを事前に必ず確認しましょう。
後悔しないための重要知識!施設選びを左右する5つの比較軸
セルフ診断で大まかな方向性が見えたら、次はより具体的に施設を比較検討していく段階です。ここでは、施設選びで失敗しないために必ずチェックすべき5つのポイントを解説します。この「比較軸」を知っておくだけで、パンフレットやウェブサイトの情報整理が格段にしやすくなりますよ。
【運営元】公的施設と民間施設、それぞれのメリット・デメリット
施設の運営元は、主に「公的(社会福祉法人や医療法人など)」と「民間(株式会社など)」に分かれます。公的施設は費用が安い反面、入居待ちが長いことも。民間施設は費用は高めですが、多様なニーズに応える多彩なサービスが魅力です。どちらが良い・悪いではなく、それぞれの特徴を理解し、自分たちの状況に合う方を選ぶことが大切になります。
【費用】初期費用と月額料金の内訳と相場観
施設にかかる費用は、入居時に支払う「初期費用(入居一時金)」と、毎月支払う「月額利用料」の2つが基本です。月額利用料には、家賃や管理費、食費、水道光熱費などが含まれます。介護サービス費は介護度によって変動し、その他、おむつ代や医療費、理美容代などは別途自己負担となる場合が多いので、費用の内訳をしっかり確認しましょう。
【入居条件】要介護度や年齢による入居可否
施設ごとに入居できる条件は決まっています。「65歳以上」「要介護3以上」「特定の地域に住民票があること」など様々です。特に、認知症の有無や医療行為の必要性によっては、入居できる施設が限られることもあります。希望する施設が見つかったら、まず入居条件を満たしているかを確認することが最初のステップです。
【医療・介護体制】認知症や看取りへの対応力
24時間看護師が常駐しているか、協力医療機関はどこか、といった医療体制は必ず確認したいポイントです。また、認知症の症状が進行した場合や、人生の最期までその施設で過ごしたい(看取り)と希望する場合に、どこまで対応してもらえるのかも重要になります。将来の心身の変化を見据えて、長く安心して暮らせる体制が整っているかを見極めましょう。
【生活の自由度】レクリエーションや外出のルール
施設での暮らしは、日々の楽しみも大切です。レクリエーションやイベントがどのくらい開催されているか、趣味のサークル活動はあるか、といった点は生活の質に直結します。また、外出や外泊、家族の面会時間などのルールも施設によって異なります。「外出には届け出が必要」「面会は午後5時まで」など、ご本人の希望するライフスタイルに合っているかを確認しておくと良いでしょう。
【公的施設編】費用を抑えやすい4つの施設タイプを解説

ここからは、具体的な施設の種類について詳しく見ていきましょう。まずは、地方公共団体や社会福祉法人が運営する「公的施設」です。比較的費用が安いため人気が高く、入居待ちが発生することも少なくありません。
特別養護老人ホーム(特養):手厚い介護が特徴
「特養(とくよう)」という愛称で知られる、公的施設の代表格です。原則として要介護3以上の方が入居でき、食事や入浴、排泄といった日常生活の介護を手厚く受けられます。看取りまで対応している施設が多く、「終の棲家(ついのすみか)」として選ばれることも多いのが特徴です。費用が安いため非常に人気が高く、数ヶ月から数年単位の入居待ちも珍しくありません。
介護老人保健施設(老健):在宅復帰を目指すリハビリ施設
「老健(ろうけん)」は、病院を退院した後、すぐに自宅での生活に戻るのが不安な方が利用する施設です。理学療法士や作業療法士といった専門スタッフによるリハビリを受け、在宅復帰を目指すことが目的。そのため、入居期間は原則3〜6ヶ月と定められています。あくまで一時的な滞在を目的とした施設である、という点が特養との大きな違いです。
介護医療院:医療ケアが充実した長期療養施設
介護医療院は、長期的な医療と介護の両方が必要な高齢者のための施設です。日常的に痰の吸引や経管栄養などの医療ケアが必要な方や、看取り期にある方などを対象としています。医師や看護師が常駐しており、病院と老人ホームの中間のような役割を担っています。「介護療養型医療施設(療養病床)」からの転換で設置が進められています。
ケアハウス(軽費老人ホーム):自立した生活を支援
身の回りのことは自分でできるものの、一人暮らしに不安がある高齢者のための施設です。食事の提供や緊急時の対応といったサービスを受けながら、比較的自立した生活を送ることができます。所得に応じて利用料の補助があるため、費用を抑えられるのが魅力です。近年は、介護が必要になっても住み続けられる「介護型」のケアハウスも増えています。
【民間施設編】多様なニーズに応える5つの施設タイプを解説

次に、株式会社などの民間企業が運営する施設を見ていきましょう。公的施設に比べて費用は高くなりますが、その分、入居しやすく、設備やサービスが非常に多彩なのが特徴です。豪華なホテルのような施設から、アットホームな施設まで、様々な選択肢があります。
介護付き有料老人ホーム:24時間体制の介護サービス
介護が必要な方向けの施設で、施設のスタッフが24時間体制で介護サービスを提供します。食事や入浴、排泄の介助から、掃除、洗濯、健康管理まで、幅広いサポートを受けられるのが特徴です。介護サービス費は要介護度に応じた定額制(包括払い)のため、どれだけサービスを使っても費用が大きく変動しないという安心感があります。
住宅型有料老人ホーム:必要なサービスを自由に選択
生活支援サービスが付いた高齢者向けの住まいです。介護が必要になった場合は、外部の訪問介護やデイサービスといった介護保険サービスを、自分で契約して利用します。介護付き有料老人ホームと違い、使った分だけ費用が発生する仕組みです。まだ介護は必要ないけれど、将来に備えたいという方や、特定のデイサービスに通い続けたい方などにおすすめです。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):安否確認と生活相談が基本
「サ高住(さこうじゅう)」と略される、高齢者向けの賃貸住宅です。「安否確認」と「生活相談」サービスの提供が義務付けられており、バリアフリー構造になっているのが特徴。一般的な賃貸住宅に近い感覚で、自由度の高い暮らしができます。介護が必要な場合は、住宅型有料老人ホームと同様に、外部のサービスを個別に契約して利用します。
グループホーム:認知症の方が共同生活を送る家
認知症と診断された高齢者が、5〜9人程度の少人数単位で共同生活を送る施設です。専門知識を持ったスタッフの支援を受けながら、食事の支度や掃除などを分担して行います。家庭的な雰囲気の中で、他の入居者と交流しながら穏やかに暮らすことで、認知症の症状緩和や進行を遅らせる効果が期待されています。入居には、施設と同じ市区町村に住民票があることが条件となります。
シニア向け分譲マンション:所有権を持ちながらサポートを受けられる
高齢者が暮らしやすいように設計された分譲マンションです。購入するため、所有権は自分のものになり、売却や相続も自由にできます。レストランや大浴場、フィットネスジムといった豪華な共用施設が充実していることが多く、見守りや生活相談などのサービスも受けられます。アクティブで豊かなシニアライフを送りたい方に人気ですが、購入費用や管理費は高額になります。
理想の高齢者施設を見つけるために!見学・体験入居のチェックポイント
パンフレットやウェブサイトで気になる施設をいくつか絞り込んだら、必ず「見学」に行きましょう。施設の雰囲気やスタッフの対応、入居者の表情など、実際に行ってみないと分からないことはたくさんあります。ここでは、見学と体験入居で失敗しないためのポイントをお伝えします。
見学時に必ず確認したい6つのチェックリスト
ただ漠然と施設を見るだけでは、重要なことを見落としてしまいがちです。事前にチェックリストを用意して、効率よく情報を収集しましょう。
- 清潔感:居室や共用スペース、トイレ、食堂などは清潔に保たれていますか?
- スタッフの様子:スタッフは笑顔で挨拶してくれますか?入居者への言葉遣いは丁寧ですか?
- 入居者の表情:入居者の方々は、穏やかな表情で過ごしていますか?
- 食事の内容:食事は美味しそうですか?刻み食やミキサー食など、個別の対応は可能ですか?
- 周辺環境:スーパーや公園、病院は近くにありますか?家族が面会に行きやすい場所ですか?
- 施設の音や匂い:不快な匂いはしませんか?騒がしすぎたり、逆に静かすぎたりしませんか?
入居後のミスマッチを防ぐ「体験入居」の賢い活用法
多くの施設では、数日から1週間程度の「体験入居」が可能です。契約前に実際の生活を体験できる貴重な機会なので、積極的に活用しましょう。体験入居では、食事の味付けが口に合うか、夜間のスタッフの対応はどうか、他の入居者と馴染めそうか、といった点をじっくり確認できます。ご本人にとって本当に心地よい場所かどうかを、肌で感じることが、入居後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ一番の近道です。
まとめ:最適な高齢者施設選びは、情報整理と優先順位付けから
ここまで、9種類の高齢者施設の特徴や費用、そして後悔しないための選び方について解説してきました。施設の種類が多くて複雑に感じたかもしれませんが、大切なのは情報を一つひとつ整理し、「ご自身やご家族にとって何を一番大切にしたいか」という優先順位を決めることです。
- 健康状態や介護の必要度
- 希望する暮らし方やライフスタイル
- 支払える費用の範囲
この3つのポイントを軸に検討を進めれば、選択肢は自然と絞られてきます。この記事を参考に、まずはご家族でじっくりと話し合い、気になる施設の見学から始めてみてください。あなたとご家族にとって、心から「ここを選んで良かった」と思える、最適な住まいが見つかることを心から願っています。