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サービス付き高齢者向け住宅の問題点とは?入居後に後悔しないための対策を徹底解説

サ高住の “落とし穴” とは?サービス、費用、退去…後悔しないための対策を紹介

「自由な暮らしと安心のサポート」そんな魅力的な言葉で紹介されるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)。しかし、その一方で「こんなはずじゃなかった…」と後悔するケースが後を絶たないのも事実です。

大切な老後の住まい選びで失敗しないためには、事前にメリットだけでなく、デメリットや問題点をしっかりと理解しておくことが何よりも重要になります。

この記事では、サ高住が抱える具体的な問題点から、入居後に後悔しないための対策、そして失敗しない施設選びのチェックポイントまで、どこよりも分かりやすく徹底解説します。あなたの、そしてご家族の未来を守るための知識を、ぜひここで手に入れてください。

まずはおさらい|サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の基本

サ高住の問題点を理解するためには、まずその基本を知っておくことが大切です。一般的な介護施設とは少し違う、サ高住ならではの特徴をおさらいしましょう。この基本を知るだけでも、なぜ問題が起きやすいのかが見えてくるはずですよ。

高齢者のための「賃貸住宅」

サ高住は、特別養護老人ホームなどの「施設」とは違い、基本的には高齢者のための「賃貸住宅」です。そのため、比較的自由度が高い暮らしを送れるのが大きな特徴といえるでしょう。各部屋にキッチンやトイレ、お風呂などが備え付けられている場合が多く、プライバシーが守られた生活を基本とします。あくまで住まいは「借りる」形であり、安否確認や生活相談といったサービスが義務付けられている点が、一般の賃貸住宅との大きな違いです。

2つのタイプ「一般型」と「介護型」

サ高住には、大きく分けて「一般型」と「介護型」の2つのタイプがあります。「一般型」は、介護が必要になった場合、外部の訪問介護サービスなどを自分で契約して利用します。一方、「介護型」は施設のスタッフが介護サービスを提供してくれるため、介護付き有料老人ホームに近い形です。どちらのタイプかによって、介護が必要になったときの暮らし方が大きく変わってくるため、入居前に必ず確認しましょう。

入居前に知っておきたい!サ高住が抱える5つの主な問題点

ここからが本題です。自由で安心なイメージのあるサ高住ですが、入居後にトラブルになりやすい問題点がいくつか存在します。事前に知っておくことで、多くの失敗は避けられます。代表的な5つの問題点をしっかり確認していきましょう。

問題点1:介護度が上がると住み続けられない可能性

最も大きな問題点の一つが、将来的に介護が必要になった場合のリスクです。

「元気なうちは快適だったけれど、要介護度が上がったら退去を求められた」というケースは少なくありません。特に「一般型」のサ高住では、常時介護が必要な状態や、医療的ケアが必要になると、対応が難しくなることがあります。終身利用できると思っていたのに、心身の状態が変化したことで住み替えを余儀なくされる可能性は、必ず頭に入れておくべきでしょう。

問題点2:「囲い込み」による不必要なサービス契約のリスク

サ高住の中には、特定の介護サービス事業者を過剰に勧め、利用者を「囲い込み」しようとする施設が存在します。これは、本来自由に選べるはずの介護サービスを、施設側が指定する事業者と契約させようとする行為です。

その結果、本当に必要なサービスを選べなかったり、割高な料金を支払うことになったりする恐れがあります。「ケアプランはこちらで作成します」といった言葉には少し注意が必要かもしれません。

問題点3:認知症ケアが不十分な施設も存在する

サ高住は、認知症の方を専門に受け入れる施設ではありません。そのため、認知症の症状が進行し、徘徊や大声を出すなどの行動が見られるようになると、共同生活が難しいと判断されてしまうことがあります。認知症への対応は施設によって大きく異なり、専門的な知識を持つスタッフが不足しているケースも少なくないのです。

入居時には問題なくても、将来的に認知症を発症・進行した場合の対応については、事前に詳しく確認しておく必要があります。

問題点4:「自由な暮らし」と実態のギャップ

「賃貸住宅だから自由」というイメージと、実際の生活ルールとの間にギャップを感じる方もいます。

例えば、安全管理のために食事の時間が決められていたり、外出時に届け出が必要だったり、夜間の出入りが制限されていたりすることがあります。もちろん、これらは共同生活を円滑にするためのルールですが、思い描いていた「自由な暮らし」とは違うと感じるかもしれません。どの程度のルールがあるのか、事前に確認することが大切です。

問題点5:見落としがちな運営企業の倒産リスク

あまり考えたくないことですが、サ高住を運営する企業が倒産するリスクもゼロではありません。

もし倒産してしまった場合、支払った入居一時金が戻ってこない、あるいは住まいを失ってしまうという最悪の事態も考えられます。特に、新しい施設や小規模な事業者が運営している場合は注意が必要です。運営企業の経営状況や実績なども、施設選びの重要な判断材料の一つと考えましょう。

後悔しないために!サ高住の問題点を回避する具体的な対策

問題点を知って不安になったかもしれませんが、ご安心ください。これらの問題は、事前の対策で十分に回避することが可能です。「入居前」と「入居後」に分けて、具体的な対策を見ていきましょう。

【入居前の対策】ミスマッチを防ぐためにできること

入居前の準備が、将来の安心を大きく左右します。契約書にサインする前に、以下の3つのポイントを必ず実行してください。

  • 自分の心身の状態と入居条件を照らし合わせる
    今の健康状態だけでなく、将来的にどんな病気になる可能性があるか、介護が必要になったらどうしたいかを考えましょう。そのうえで、施設の入居条件や退去要件を細かく確認し、自分の将来像と合っているかを見極めることが重要です。
  • 介護度が上がった場合の選択肢を用意しておく
    もし介護度が上がって住み続けられなくなった場合、どうするのかを事前に考えておきましょう。例えば、同じ事業者が運営する介護施設へ優先的に移れる「住み替え先」が用意されているかなどを確認しておくと、いざという時に安心です。
  • 他の施設(有料老人ホームなど)も比較検討する
    サ高住だけにこだわらず、介護付き有料老人ホームやグループホームなど、他の選択肢も視野に入れて比較検討することをおすすめします。それぞれのメリット・デメリットを比べることで、自分にとって本当に最適な住まいの形が見えてくるはずです。

【入居後の対策】安心して暮らし続ける工夫

もし入居後に「あれ?」と思うことがあっても、諦める必要はありません。安心して暮らし続けるための工夫をご紹介します。

  • 外部の介護サービスを上手に活用する
    施設から特定のサービスを勧められても、すぐに契約する必要はありません。担当のケアマネジャーとしっかり相談し、複数の事業者を比較検討したうえで、自分に本当に合ったサービスを選びましょう。主体的にサービスを選ぶことが、「囲い込み」を防ぐ一番の対策になります。
  • 家族と協力体制を築き、定期的に状況を共有する
    入居後は、ご家族と定期的に連絡を取り合い、施設の様子やご自身の体調について共有することが大切です。何か困ったことがあったときに、一人で抱え込まずに相談できる相手がいることは大きな支えになります。家族の協力があれば、施設側との話し合いもスムーズに進みやすくなるでしょう。

失敗しない施設選び!契約前に確認すべきチェックポイント

実際に施設を見学したり、契約を検討したりする際には、どこを見れば良いのでしょうか。後悔しないために、必ず確認してほしい4つのチェックポイントをまとめました。

スタッフの配置や対応は十分か

日中のスタッフ配置はもちろんですが、大切なのはその「質」です。見学の際には、スタッフが入居者とどんな風に接しているか、表情は明るいかなどを観察しましょう。質問に対して、丁寧にごまかさずに答えてくれるかどうかも重要な判断材料です。挨拶や笑顔が自然に出てくる施設は、良い雰囲気である可能性が高いといえます。

夜間・緊急時の対応体制は万全か

夜間に体調が急変した場合など、いざという時の対応体制は命に関わる重要なポイントです。夜間はスタッフが常駐しているのか、それとも警備会社への通報システムだけなのかを確認してください。また、緊急通報装置が部屋のどこに設置されているか、提携している医療機関はどこかなど、具体的な対応フローを詳しく聞いておきましょう。

入居者間のトラブルへの対応方針は明確か

多くの人が一緒に暮らす以上、騒音や人間関係といった入居者間のトラブルは起こり得ます。そうしたトラブルが発生した際に、施設側がどこまで介入してくれるのか、どのような対応方針を持っているのかを事前に確認しておくと安心です。見て見ぬふりをするのではなく、きちんと間に入って解決をサポートしてくれる体制があるかを見極めましょう。

「行動規範遵守宣言確認書」を確認する

少し専門的ですが、「行動規範遵守宣言確認書」という書類の有無を確認するのも有効です。これは、事業者が「囲い込み」などの不適切な行為をしないことを宣言する書類です。この書類を掲示している施設は、利用者のサービス選択の自由を尊重する意識が高いと考えられます。見学時に、こうした書類があるか尋ねてみるのも一つの手です。

国も対策に乗り出している?サ高住に関する行政の動向

サ高住に関するトラブルが増加していることを受け、国も対策に乗り出しています。

例えば、問題のある事業者に対しては指導を強化したり、利用者が不利益を被らないように「囲い込み」防止のガイドラインを明確にしたりする動きが進んでいます。

また、各都道府県では、サ高住の登録情報(提供サービスや費用など)をウェブサイトで公開しており、誰でも閲覧できるようになっています。こうした行政の動きも、私たちがより良い施設を選ぶための追い風になっています。情報を上手に活用し、安心して暮らせる住まい探しに役立てていきましょう。

まとめ:問題点を正しく理解し、安心できるサ高住を選びましょう

今回は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が抱える問題点と、後悔しないための対策について詳しく解説しました。デメリットや問題点を知ることは、不安になるためではありません。むしろ、事前にリスクを把握し、対策を立てることで、心から安心して暮らせる「最高の住まい」を見つけるための最も確実な方法なのです。

この記事でご紹介したチェックポイントを参考に、ぜひ複数の施設を比較検討し、ご自身の目で見て、話を聞いてみてください。そして、あなたとご家族が納得できる、後悔のない選択をされることを心から願っています。