サ高住と住宅型有料老人ホームの違いを徹底解説!あなたに合うのはどっち?
どちらを選ぶべき?サ高住と住宅型有料老人ホームの 6 つの違いを比較

「親のこれからの暮らし、どうしよう…」「自分の老後は、どこで過ごすのが安心だろう?」そんな風に考え始めたとき、候補にあがるのが「サ高住」と「住宅型有料老人ホーム」。言葉は聞いたことがあっても、その違いをはっきり説明できる方は少ないのではないでしょうか。
どちらも高齢者のための住まいですが、費用やサービス、暮らしの自由度が大きく異なります。この違いを知らないまま選んでしまうと、「こんなはずじゃなかった」と後悔につながることも。
この記事では、二つの施設の違いを7つのポイントで徹底比較し、あなたやご家族にぴったりの住まいがどちらなのか、小学生にもわかるようにやさしく解説します。
まずは結論から!サ高住と住宅型有料老人ホームの違いが一目でわかる比較表
細かい説明の前に、まずは結論から見ていきましょう。「サ高住(さこうじゅう)」と「住宅型有料老人ホーム」の最も大きな違いを、下の表にまとめました。忙しい方はここだけチェックするだけでも、大まかなイメージをつかむことができますよ。それぞれの詳しい内容は、この後じっくり解説していくので安心してくださいね。
| 比較項目 | サ高住(サービス付き高齢者向け住宅) | 住宅型有料老人ホーム |
|---|---|---|
| 一言でいうと | 自由な「賃貸住宅」+見守りサービス | サービスが充実した「住まい」 |
| 契約形態 | 賃貸借契約(敷金) | 利用権方式(入居一時金) |
| 費用 | 比較的安め | 比較的高め |
| 食事 | 基本的に自己負担(自炊や外部サービス) | 月額費用に含まれることが多い |
| 生活の自由度 | 高い(外出・外泊も自由) | 比較的低い(施設ごとのルールあり) |
| 主な入居対象 | 自立している元気な高齢者 | 自立~要支援・軽度の要介護者 |
そもそも「サ高住」と「住宅型有料老人ホーム」とは?

比較表で大まかな違いはつかめましたか?ここでは、それぞれの施設が「そもそもどんな場所なのか」という基本を、もう少しだけ詳しく見ていきましょう。それぞれの特徴を知ることで、この後の比較がぐっと理解しやすくなります。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅):自由な暮らしをサポートする賃貸住宅
サ高住は、ひとことで言えば「高齢者向けの賃貸マンション」のようなものです。一番の特徴は、自宅と同じように自由な暮らしができること。その上で、「安否確認」と「生活相談」という、いざという時のための見守りサービスが必ず付いています。あくまでも「住宅」なので、介護サービスや食事は基本的にオプションです。必要なものを自分で選んで組み合わせる、自由度の高さが魅力と言えるでしょう。
住宅型有料老人ホーム:多彩なサービスで豊かな生活を提供する施設
住宅型有料老人ホームは、食事の提供や掃除・洗濯といった生活支援サービスが付いているのが大きな特徴です。日々の生活をサポートしてもらいながら、施設内で開催されるレクリエーションやイベントに参加して、他の入居者と交流を楽しむこともできます。介護が必要になった場合は、サ高住と同じように外部の介護サービスを利用します。手厚いサービスを受けながら、安心して豊かな毎日を送りたい方向けの「住まい」です。
【7つのポイントで比較】サ高住と住宅型有料老人ホームの具体的な違い
さて、ここからが本題です。サ高住と住宅型有料老人ホームの違いを、7つの具体的なポイントに分けて、さらに深掘りしていきます。費用から生活スタイルまで、あなたやご家族が何を重視するのかを考えながら読み進めてみてください。
①費用:初期費用と月額利用料はどちらが安い?
施設選びで最も気になるのが、やはりお金のことではないでしょうか。初期費用と月額費用、それぞれにどのような違いがあるのか見ていきましょう。一般的には、サ高住の方が費用を抑えやすい傾向にあります。
サ高住の費用内訳と相場
サ高住の初期費用は、一般的な賃貸住宅と同じ「敷金」です。家賃の数か月分が相場で、0円のところも珍しくありません。月額費用は、家賃・共益費・基本サービス費(安否確認・生活相談)の合計です。食事や介護サービスは別途契約が必要になります。
- 初期費用(敷金): 0~数十万円
- 月額利用料: 10~30万円程度
住宅型有料老人ホームの費用内訳と相場
住宅型有料老人ホームの初期費用は、「入居一時金」と呼ばれるものです。これは、その施設で生涯暮らす権利を得るためのお金で、施設によって0円から数千万円と非常に幅があります。月額費用には、家賃相当額・管理費・食費・水道光熱費などが含まれていることが多いです。
- 初期費用(入居一時金): 0~数千万円
- 月額利用料: 15~40万円程度
②サービス内容:介護・生活支援の範囲
毎日の暮らしを支えるサービスには、どのような違いがあるのでしょうか。どちらの施設も、介護が必要になった場合は外部の事業者と契約するという点は共通しています。
サ高住で受けられる基本サービス
法律で義務付けられているのは、「安否確認」と「生活相談」の2つだけです。スタッフが定期的に居室を訪問したり、緊急時に駆けつけたりしてくれます。食事の提供や掃除、買い物代行といった生活支援サービスは、必要な人が個別に契約するオプション扱いとなっている施設が多いです。
住宅型有料老人ホームで提供されるサービス
住宅型有料老人ホームでは、食事の提供や居室の清掃、洗濯などの生活支援サービスが月額費用に含まれていることがほとんどです。また、入居者が楽しめるように、体操や趣味のサークル、季節のイベントといったレクリエーションが充実しているのも特徴です。日々の生活に彩りが生まれますね。
共通点:介護が必要な場合は外部サービスを利用
どちらの施設も、介護の専門スタッフが24時間常駐しているわけではありません。そのため、訪問介護(ヘルパー)やデイサービスなどを利用したい場合は、外部の介護サービス事業者と自分で契約する必要があります。施設によっては、事業所が併設されていてスムーズに利用できる場合もあります。
③契約形態:資産になる?ならない?大きな違い
見落としがちですが、契約形態の違いは非常に重要です。将来的な資産の扱いや、退去時の手続きに関わってくる大きなポイントになります。
サ高住の「賃貸借契約」
サ高住は、一般的なアパートやマンションと同じ「賃貸借契約」を結びます。支払うのは敷金と家賃なので、仕組みが分かりやすいのがメリットです。もし他の施設に移りたくなっても、比較的簡単に解約や退去ができます。ただし、所有権はないため、自分の資産にはなりません。
住宅型有料老人ホームの「利用権方式」
住宅型有料老人ホームの多くは「利用権方式」という契約です。これは、その施設の居室や共用設備を生涯にわたって利用し、サービスを受ける「権利」を購入する契約です。高額な入居一時金が必要な場合もありますが、亡くなるまで住み続ける権利が保障されます。ただし、この権利は他人に譲ったり売ったりすることはできず、資産として残すこともできません。
④入居条件:対象となる年齢や要介護度
誰でも入居できるわけではなく、施設ごとに入居条件が定められています。一般的に、サ高住の方が入居のハードルは低い傾向にあります。
- サ高住: 原則として60歳以上で、身の回りのことが自分でできる「自立」した方が主な対象です。要支援や軽度の要介護の方を受け入れている施設もあります。
- 住宅型有料老人ホーム: こちらも60歳または65歳以上が基本ですが、「自立~要介護2」くらいまで、幅広い方を受け入れているのが特徴です。施設によっては、より重度の介護が必要な方や、認知症の方の受け入れが可能な場合もあります。
⑤居室と設備:広さや共用スペースの充実度
毎日を過ごすお部屋や、他の入居者と使う共用スペースにも違いがあります。プライベートな時間を重視するか、交流の場を重視するかで好みが分かれるでしょう。
- サ高住: 居室の広さは原則25㎡以上と定められており、トイレ、洗面、キッチン、浴室などが備わっていることが多いです。自宅に近い感覚で、自立した生活を送りやすい設備が整っています。
- 住宅型有料老人ホーム: 居室は18㎡程度からと、ややコンパクトな作りが一般的です。その分、豪華な食堂や大浴場、機能訓練室、娯楽室など、共用スペースが充実している施設が多く見られます。
⑥生活の自由度:外出や面会のルール
「これまでの生活リズムをあまり変えたくない」という方にとって、生活の自由度は重要なポイントです。
- サ高住: 基本的には賃貸住宅なので、外出や外泊、家族や友人の訪問も自由です。門限などもなく、自分のペースで生活できます。
- 住宅型有料老人ホーム: 多くの施設で、食事の時間や入浴の時間が決まっています。また、安全管理のために門限が設けられていたり、外出時に届け出が必要だったりする場合があります。集団生活としての一定のルールが存在します。
⑦人間関係:入居者同士の交流機会
人との関わり方も、施設によって大きく異なります。マイペースに過ごしたいのか、積極的に交流したいのか、希望するスタイルを考えてみましょう。
- サ高住: 入居者同士の交流は、個人の自由に任されています。干渉されずにプライベートな時間を大切にしたい方に向いています。もちろん、希望すれば交流できるイベントを用意している施設もあります。
- 住宅型有料老人ホーム: 食事やレクリエーションなど、他の入居者と顔を合わせる機会が日常的に多くあります。孤独を感じにくく、新しい友人を作りたい、みんなでワイワイ楽しみたいという方には魅力的な環境です。
メリット・デメリットから見る!どちらの施設を選ぶべき?

これまで見てきた7つの違いを、今度はメリット・デメリットという視点で整理してみましょう。どちらの施設にも良い点と、注意すべき点があります。
サ高住のメリット・デメリット
サ高住の魅力は、何といっても「自由」と「費用」です。しかし、その自由さが裏目に出る可能性も理解しておく必要があります。
メリット:自由度の高さと費用の手頃さ
- 自宅のように外出や外泊が自由で、生活リズムを崩さずに暮らせる。
- 入居一時金が不要な場合が多く、初期費用を抑えられる。
- 不要なサービスは契約しなくてよいため、月額費用も比較的安く済む。
- プライバシーが守られ、自分のペースで生活できる。
デメリット:介護度が上がった際の住み替えリスク
- 介護サービスは外部契約なので、必要なサービスを自分で選ぶ手間がかかる。
- 常駐の介護スタッフはいないため、夜間などの緊急時対応に不安が残る場合も。
- 介護度が重くなると、必要なサービスを受けられなくなり、住み替えを検討する必要が出てくる可能性がある。
住宅型有料老人ホームのメリット・デメリット
住宅型有料老人ホームの強みは、手厚いサービスによる「安心感」です。一方で、集団生活ならではの制約もあります。
メリット:豊富なレクリエーションと手厚いサービス
- 毎日の食事が提供され、準備や片付けの手間から解放される。
- レクリエーションやイベントが多く、ハリのある生活を送りやすい。
- 他の入居者と交流する機会が多く、孤独を感じにくい。
- 生活支援サービスが充実しており、安心して暮らせる。
デメリット:費用の高さと集団生活のルール
- 入居一時金が高額になる場合があり、初期費用の負担が大きい。
- サービスが充実している分、月額費用もサ高住より高くなる傾向がある。
- 食事の時間や門限など、施設ごとのルールに従う必要がある。
- 他の入居者との共同生活が苦手な人には、ストレスになる可能性も。
【ケース別】あなたや家族に合うのはサ高住?住宅型有料老人ホーム?
ここまで読んで、あなたやご家族にはどちらのタイプが合っているか、少しイメージが湧いてきたのではないでしょうか。最後に、具体的な人物像に合わせて、どちらの施設がおすすめかを提案します。
サ高住がおすすめな人
- 今の生活スタイルをできるだけ変えたくないAさん
まだまだ元気で、趣味のサークルや友人とのランチなど、アクティブに活動したい。食事も自分で作りたいし、干渉されずにマイペースに暮らしたい。 - できるだけ費用を抑えたいBさん親子
親の年金収入の範囲で暮らせる施設を探している。初期費用はなるべくかけず、月々の支払いもシンプルにしたい。介護はまだ必要ない。 - 夫婦二人でのんびり暮らしたいCさん夫妻
広い一戸建ての管理が大変になってきた。夫婦二人で暮らせる広さの部屋に移り、見守りサービスがある安心感だけ得られれば十分。
住宅型有料老人ホームがおすすめな人
- 毎日の食事の準備が負担になってきたDさん
一人暮らしで、三度の食事を用意するのが少し億劫に。栄養バランスの取れた食事を、誰かと一緒に楽しく食べたい。 - 人との交流を楽しみたいEさん
夫に先立たれ、日中一人でいると寂しさを感じるようになった。施設のイベントに参加したり、新しい友達を作ったりして、にぎやかに過ごしたい。 - 少し身体に不安が出てきたFさんの家族
最近、親が少しふらつくことが増えて心配。日中はスタッフの目があり、何かあってもすぐに対応してもらえる環境の方が安心できる。
高齢者向けの施設選びで後悔しないための注意点

最後に、どちらの施設を選ぶにしても、必ず押さえておきたい2つの注意点をお伝えします。この視点を持つことで、より満足のいく施設選びができます。
将来の介護度変化を見据えて選ぶ
今は元気でも、5年後、10年後には介護が必要になるかもしれません。「介護度が上がった場合、この施設で暮らし続けることはできるのか?」という視点は非常に重要です。
- 介護サービス事業所が併設されているか
- 介護度が重くなった入居者の事例はあるか
- 退去しなければならない条件は何か
これらの点を、契約前に必ず確認しておきましょう。
介護保険の区分支給限度基準額を理解する
介護が必要になったとき、介護保険サービスを利用することになりますが、このサービスは使い放題ではありません。要介護度ごとに、1か月に利用できる金額の上限(区分支給限度基準額)が決められています。この上限を超えてサービスを利用した場合、超えた分は全額自己負担となります。月額利用料の他に、介護サービス費がいくらかかるのか、上限額の範囲内でどのようなサービスが受けられるのかを事前にシミュレーションしておくことが大切です。
まとめ:自分らしい暮らしを叶える施設を選びましょう
サ高住と住宅型有料老人ホームの違い、ご理解いただけたでしょうか。
- サ高住は「自由な暮らし」を続けたい方向けの、安心サポート付き賃貸住宅。
- 住宅型有料老人ホームは「手厚いサービス」を受けながら、豊かな毎日を送りたい方向けの住まい。
どちらが良い・悪いということではありません。最も大切なのは、あなたやご家族が「これからどんな暮らしを送りたいか」という価値観です。この記事を参考に、ぜひご自身の希望を整理してみてください。そして、気になる施設が見つかったら、まずは資料請求や見学に行ってみることを強くおすすめします。施設の雰囲気やスタッフの対応を肌で感じることで、きっと「ここだ!」と思える場所に出会えるはずです。あなたらしい、すてきなセカンドライフの第一歩を応援しています。