高齢者向けシェアハウスの問題点やリスクは？入居前に知るべき全知識

「老後の住まい、どうしよう…」そんな悩みを抱えていませんか。近年、新しい選択肢として注目されているのが「高齢者向けシェアハウス」です。しかし、聞こえは良くても「他人との共同生活は不安」「もし介護が必要になったら？」といった疑問は尽きないもの。

この記事では、入居してから後悔しないために、高齢者向けシェアハウスが抱えるリアルな問題点を徹底的に解説します。もちろん、素晴らしいメリットや費用の目安、失敗しない選び方のポイントまで網羅。あなたの不安を解消し、自分らしいセカンドライフの住まいを見つけるお手伝いをします。

そもそも高齢者向けシェアハウスとは？老人ホームとの違い

「シェアハウス」と聞くと若者のイメージが強いかもしれませんが、近年はシニア世代向けの物件が全国的に増えています。老人ホームとは異なる、その新しい住まいの形をまずは理解しておきましょう。自分に合っているかどうかを見極める第一歩になります。

個室と共用スペースで暮らす新しい住まいの形

高齢者向けシェアハウスは、一人ひとりに鍵付きの個室があり、プライバシーはしっかりと守られるのが基本です。その上で、リビングやキッチン、浴室といったスペースを他の入居者と共有します。自分の部屋でゆっくり過ごす時間も、共用スペースで誰かと食卓を囲む時間も、両方大切にできる暮らし方です。一人の気ままさと、人とのつながりの温かさを両立できるのが、大きな魅力といえるでしょう。

介護サービスの有無が老人ホームとの大きな違い

最も大きな違いは、介護サービスの提供体制にあります。老人ホームが介護を必要とする方へのケアを前提とした「施設」であるのに対し、シェアハウスはあくまで一般的な「住まい」です。そのため、施設内に介護スタッフが24時間常駐しているわけではありません。介護が必要になった場合は、自分で外部の訪問介護サービスなどを契約して利用するのが基本。この違いが、後々重要になってくるので覚えておいてください。

入居前に知っておきたい！高齢者向けシェアハウスの5つの問題点

新しい暮らしへの期待が高まる一方で、見過ごせない問題点も存在します。良い面だけでなく、デメリットもしっかりと把握しておくことが、後悔しないための鉄則です。ここでは、入居前に必ず知っておくべき5つの代表的な問題点を、具体的に見ていきましょう。

【人間関係】共同生活ならではのトラブルは避けられない？

最も多くの人が不安に感じるのが、人間関係のトラブルではないでしょうか。いくら個室があるといっても、毎日顔を合わせる共同生活です。価値観や育ってきた環境が違う人同士が集まるため、ささいなことでストレスを感じる可能性があります。

• 生活音：テレビの音量や夜中の話し声、ドアの開閉音など
• 共用スペースの使い方：私物の置きっぱなし、キッチンの後片付けなど
• 人間関係の距離感：過度な干渉や、逆に孤立してしまうケース

気の合う仲間と出会えれば最高の環境ですが、相性が合わないと大きな苦痛になりかねません。

【介護体制】介護が必要になったときのサポートが不十分

元気なうちは快適でも、将来、身体が不自由になったときのことを考える必要があります。前述のとおり、シェアハウス自体に手厚い介護サービスはありません。そのため、介護度が高くなると、外部サービスだけでは対応しきれなくなり、住み続けることが難しくなる場合があります。「要介護になったら退去」というルールを設けている物件も少なくないため、終の棲家として考えている方は特に注意が必要です。

【プライバシー】一人の時間の確保が難しい場合も

「孤独は嫌だけど、ずっと誰かと一緒なのも疲れる…」と感じる方もいるでしょう。シェアハウスでは、共用スペースで過ごしていると、良くも悪くも他の入居者と顔を合わせることになります。一人の時間を大切にしたいタイプの人にとっては、他の入居者との交流が時に負担となり、プライベートな空間や時間を確保しにくいと感じることがあるかもしれません。

【安全性】バリアフリー設備が整っていない物件もある

「高齢者向け」と謳っていても、すべての物件が完璧なバリアフリー仕様とは限りません。一般的な一軒家を改装しただけの物件も多く、よく見ると室内に細かな段差があったり、廊下やトイレに手すりがなかったりするケースがあります。今は問題なくても、将来、車椅子が必要になったときに暮らしにくい家では困ります。建物の構造や設備は、自分の目でしっかりと確認することが大切です。

【生活習慣】生活リズムや価値観の違いによるストレス

人間関係のトラブルと少し似ていますが、悪気のない「習慣の違い」がストレスの原因になることもあります。例えば、早起きで朝から活動したい人と、夜型でゆっくり過ごしたい人。掃除のきれいさに対する感覚の違い。食事の好みや味付けの違いなど、お互いの「当たり前」が違うことで、小さなすれ違いが積み重なってしまうことも。共同生活では、ある程度の歩み寄りや我慢が求められる場面が出てきます。

問題点だけじゃない！高齢者向けシェアハウスで得られる3つのメリット

ここまで問題点をお伝えしてきましたが、もちろんシェアハウスにはそれを上回るほどの素晴らしいメリットがたくさんあります。多くの人がシェアハウスを選ぶ理由となっている、代表的な3つのメリットをご紹介しましょう。

経済的負担を抑えて生活できる

有料老人ホームなどに入居する場合、数百万円以上の入居一時金が必要になることも珍しくありません。その点、シェアハウスは敷金・礼金が不要な物件も多く、初期費用を大幅に抑えることが可能です。月々の費用も、家賃や共益費をみんなで分担するため、一人暮らしをするより割安になるケースがほとんど。経済的な負担を軽くしながら、新しい生活をスタートできるのは大きな魅力です。

孤独感を解消し、見守りのある安心感を得られる

高齢期の一人暮らしで最も心配なのが「孤立」と「もしも」の時です。シェアハウスなら、「いってきます」「おかえりなさい」と声をかけあえる仲間がすぐそばにいます。誰かと一緒に食事をしたり、テレビを見ながらおしゃべりしたりする日常は、何物にも代えがたい心の支えになるでしょう。万が一、急に体調が悪くなったときも、誰かが気づいてくれるという安心感は、本人にとっても離れて暮らす家族にとっても大きなメリットです。

人との交流が健康維持や認知症予防に繋がる

人との何気ない会話や交流は、脳にとって最高の刺激になります。シェアハウスでの共同生活は、自然とコミュニケーションの機会を増やし、社会とのつながりを保つ手助けをしてくれるでしょう。他の入居者と趣味の活動を共にしたり、一緒に笑ったりすることで、生活にハリが生まれ、心身の健康維持や認知症の予防にも良い影響が期待できます。

高齢者向けシェアハウスの費用目安：初期費用と月額料金の内訳

実際にシェアハウスで暮らすとなると、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。一般的な相場を知っておくことで、より具体的に検討を進めることができます。ここでは初期費用と月額費用に分けて見ていきましょう。

敷金・礼金が不要な場合が多い「初期費用」

一般的な賃貸物件と違い、シェアハウスは敷金・礼金、仲介手数料などがかからない場合が多く、入居時のハードルが低いのが特徴です。ただし、「保証金」や「入居金」といった名目で、家賃の1〜2ヶ月分（数万円〜20万円程度）が必要なケースもあります。この費用は退去時に一部返還されることが多いですが、契約内容はしっかり確認しましょう。

家賃や共益費を含む「月額費用」の相場

月々に支払う費用は、主に以下の内訳で構成されます。

• 家賃：個室の広さや立地によって変動
• 共益費：水道光熱費、インターネット代、消耗品費など
• その他：食費や生活サポートサービス費など（物件による）

これらの合計額は、都市部で10万円～18万円、地方では7万円～15万円あたりが相場です。自分の年金収入などと照らし合わせて、無理のないプランを立てることが重要になります。

問題点を回避！失敗しないシェアハウス選び4つの重要ポイント

ここまで解説してきた問題点を避け、自分にぴったりのシェアハウスを見つけるにはどうすればよいのでしょうか。後悔しないために、見学や契約の際に必ずチェックしてほしい4つの重要ポイントを解説します。

ポイント1：将来を見据えた介護・医療サポート体制を確認する

今は元気でも、10年後、20年後はどうなっているかわかりません。「介護が必要になったら、どういう対応をしてもらえますか？」と具体的に質問しましょう。提携している介護事業所や近隣の医療機関の情報を教えてくれるか、要介護状態になった場合の退去条件はどうなっているかなど、将来を見据えたサポート体制の確認は必須です。

ポイント2：病院やスーパーへのアクセスなど立地をチェックする

日々の暮らしやすさは、周辺環境に大きく左右されます。かかりつけの病院や、日常の買い物をするスーパー、郵便局などが、自分の足で無理なく行ける範囲にあるかを確認しましょう。最寄りの駅やバス停からの距離、道のりに急な坂道がないかなども、実際に歩いて確かめてみることをおすすめします。長く快適に暮らすための大切なチェックポイントです。

ポイント3：体験入居でコミュニティの雰囲気や相性を確かめる

書類やウェブサイトだけでは、シェアハウスの本当の雰囲気はわかりません。可能であれば、必ず「体験入居」をさせてもらいましょう。すでに入居している方々の表情は明るいか、共用スペースはきれいに使われているか、食事中の会話は弾んでいるかなど、肌で感じる情報は何より重要です。自分とその場所の「相性」を確かめる絶好の機会になります。

ポイント4：運営会社の信頼性と契約内容を細かく確認する

安心して生活するためには、運営会社の信頼性が欠かせません。これまでの運営実績や、入居者からの評判などを調べてみましょう。そして、契約書は必ず隅々まで目を通してください。特に、退去に関する条件や、トラブルが起きた際の対応方法など、少しでも疑問に思った点は遠慮せずに質問し、納得できるまで説明を求めることが、後々のトラブルを防ぐことにつながります。

高齢者向けシェアハウスの問題点に関するよくある質問

ここでは、高齢者向けシェアハウスを検討している方からよく寄せられる質問にお答えします。

年金生活でも入居は可能ですか？

はい、年金の範囲内で入居できる物件はたくさんあります。シェアハウスの大きなメリットは、経済的な負担が比較的軽いことです。多くの施設が、年金収入で十分に支払えるような料金設定にしています。ただし、自分の年金受給額と、検討している物件の月額費用をしっかりと計算し、無理のない資金計画を立てることが何よりも大切です。

入居者同士のトラブルが起きたらどうすれば良いですか？

万が一、他の入居者との間でトラブルが発生した場合は、当人同士で解決しようとせず、まずは運営会社のスタッフや常駐の管理人に相談するのが基本です。信頼できる運営会社であれば、間に入って双方の話を聞き、解決策を一緒に考えてくれるはずです。入居前に、そうしたトラブル発生時の相談窓口やルールが明確に定められているかを確認しておくと、より安心できるでしょう。

まとめ：問題点とメリットを理解し、自分らしい老後の住まいを選ぼう

高齢者向けシェアハウスは、孤独を解消し、経済的な負担を軽くしながら、人とのつながりの中で安心して暮らせる、非常に魅力的な選択肢です。しかしその一方で、人間関係や介護体制など、入居前に知っておくべき問題点も確かに存在します。大切なのは、メリットだけに目を向けるのではなく、デメリットもしっかりと理解した上で、自分にとって何が一番重要かを見極めること。

この記事でご紹介した選び方のポイントを参考に、ぜひ複数の物件をじっくりと比較検討してみてください。問題点とメリットの両方を天秤にかけ、あなたが心から「ここなら自分らしく暮らせる」と思える、最高の住まいを見つけられることを願っています。