【早わかり表で比較】要支援と要介護の違いとは?サービス内容・費用・手続きの流れを解説
【早わかり表で比較】要支援と要介護の違いとは?サービス内容・費用・手続きの流れを解説

「最近、親の足腰が弱ってきた気がする」「一人暮らしの家族のことが心配…」。そんなとき、「要支援」や「要介護」という言葉を耳にすることが増えますよね。でも、この2つの違いを正しく説明できる人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、「要支援と要介護って、具体的に何が違うの?」という疑問を、誰にでもわかるようにスッキリ解決します。一目で違いがわかる比較表や、あなたやご家族がどの段階にあたるのかの目安、利用できるサービスや費用の違いまで、知りたい情報をギュッと詰め込みました。手続きの具体的なステップも解説しているので、この記事一本で介護の第一歩が踏み出せます。
まずは基本から!「要支援」と「要介護」の定義
介護保険のサービスを利用するには、まず「要支援」か「要介護」の認定を受ける必要があります。この2つは似ているようで、実は目的が大きく異なります。まずはそれぞれの基本的な意味から見ていきましょう。
「要支援」とは:自立した生活を送るためのサポート
「要支援」とは、基本的には一人で生活できるけれど、家事や身支度など、日常生活の一部で見守りや手助けが必要な状態を指します。完全に誰かに介護してもらうのではなく、「今よりも状態が悪くならないように予防する」「これからも自立した生活が送れるように少しだけサポートする」という考え方が基本です。いわば、本格的な介護状態にならないための「予防」段階と考えると分かりやすいでしょう。
「要介護」とは:日常生活を送るための介助
「要介護」とは、立ち上がりや歩行、食事、入浴、排泄といった日常生活を送るうえで、常に誰かの手助けが必要な状態のことです。要支援が「予防」に重点を置いているのに対し、要介護は「生活を支えるための直接的な介助」が中心となります。状態に応じて必要なサポートも多岐にわたるため、要介護度は5段階に細かく分かれています。
一目でわかる!要支援と要介護の3つの大きな違い

「要支援」と「要介護」の定義がわかったところで、両者の具体的な違いを整理してみましょう。大きく分けると、以下の3つのポイントが異なります。この違いを理解することが、適切なサービスを選ぶための第一歩です。
- 状態の目的が違う
- 要支援:今の状態を維持・改善し、要介護状態になるのを「予防」することが目的です。
- 要介護:日常生活を送るために必要な「介助」を受けることが目的となります。
- 利用できるサービスが違う
- 要支援:利用できるのは「介護予防サービス」です。生活機能を高めるための支援が中心となります。
- 要介護:利用できるのは「介護サービス」です。訪問介護や施設入所など、より幅広いサービスが利用可能です。
- ケアプランを作成する人が違う
- 要支援:お住まいの地域の「地域包括支援センター」がケアプランを作成します。
- 要介護:「ケアマネジャー(介護支援専門員)」が本人や家族の希望を聞きながらケアプランを作成します。
あなたや家族はどこに当てはまる?介護度の8区分早わかり表
介護保険の認定は、「自立(非該当)」「要支援1〜2」「要介護1〜5」の合計8つの区分に分けられます。ご自身やご家族がどの段階に近いのか、状態の目安を知っておきましょう。
要支援の2段階(要支援1・2)の状態目安
要支援は、将来的に要介護状態になるのを防ぐためのサポートが必要な段階です。
- 要支援1:食事や排泄はほとんど一人でできます。しかし、掃除などの複雑な家事や、立ち上がり・歩行に少し不安定さが見られ、時々手助けが必要な状態です。
- 要支援2:要支援1よりも少し支援が必要な状態です。歩行が不安定だったり、入浴や着替えなどで部分的な手助けが必要になったりすることがあります。
要介護の5段階(要介護1〜5)の状態目安
要介護は、日常生活のさまざまな場面で介助が必要となる段階です。
- 要介護1:排泄や食事はほとんど一人でできますが、立ち上がりや歩行が不安定で、入浴や掃除などで一部介助が必要です。
- 要介護2:食事は一人でできますが、排泄や入浴、着替えなどで一部または全般的な介助が必要です。歩行にも支えがいります。
- 要介護3:排泄、入浴、着替えなどに全面的な介助が必要です。立ち上がりや歩行も自力では困難になります。
- 要介護4:介助なしでの移動が困難です。食事や排泄、入浴など、日常生活のほとんどの場面で全面的な介助が必要となります。
- 要介護5:ほぼ寝たきりの状態です。生活の全てにおいて全面的な介助が必要で、意思の疎通も難しい場合があります。
【特に知りたい】「要支援2」と「要介護1」を分ける境界線
「要支援2」と「要介護1」は、状態が非常に似ており、最も判断が難しい境界線です。どちらに認定されるかで利用できるサービスも変わるため、その判断ポイントを知っておくことが大切です。
判断ポイント①:認知機能の低下
大きな判断基準の一つが、認知機能の状態です。「物忘れ」程度であれば要支援2と判断されることが多いですが、理解力や判断力が低下し、日常生活に支障が出ていると判断されると、要介護1となる可能性が高まります。例えば、薬の管理が自分でできなくなったり、金銭管理が難しくなったりするケースです。
判断ポイント②:心身の状態の安定性
もう一つのポイントは、心身の状態が安定しているかどうかです。比較的状態が安定しており、適切なサポートがあれば改善が見込める場合は要支援2になりやすいです。一方、病気などで状態が不安定、または今後悪化する可能性が高いと判断されると、要介護1と認定される傾向があります。
要支援と要介護で具体的に何が変わる?サービス・費用の違い

認定区分によって、利用できるサービスの種類や1ヶ月あたりの費用の上限額が変わってきます。これは生活に直結する非常に重要なポイントです。
利用できる介護保険サービスの違い
要支援と要介護では、利用できるサービスの種類が明確に区別されています。それぞれの目的が「予防」と「介助」であるため、サービス内容もそれに沿ったものになります。
要支援で利用できる「介護予防サービス」
要支援の方が利用するのは、心身の機能を維持・向上させることを目的とした「介護予防サービス」です。
<主なサービス例>
- 介護予防訪問リハビリテーション:理学療法士などが自宅を訪問し、リハビリを行います。
- 介護予防通所リハビリテーション(デイケア):施設に通い、リハビリやレクリエーションを受けます。
- 介護予防福祉用具貸与:手すりや歩行器などをレンタルできます。
要介護で利用できる「介護サービス」
要介護の方が利用するのは、日常生活を支えるための「介護サービス」です。在宅サービスから施設サービスまで、幅広い選択肢があります。
<主なサービス例>
- 訪問介護(ホームヘルプ):食事や入浴、排泄の介助や、掃除・調理をしてもらえます。
- 通所介護(デイサービス):施設に通い、入浴や食事の提供、レクリエーションなどを受けます。
- 特別養護老人ホーム(特養)などの施設サービス:施設に入所して24時間体制の介護を受けられます(原則要介護3以上)。
1ヶ月あたりの費用上限(支給限度額)の違い
介護保険サービスは、決められた支給限度額の範囲内であれば、所得に応じて1〜3割の自己負担で利用できます。この上限額は介護度によって異なります。
| 介護度 | 1ヶ月あたりの支給限度額(目安) | 自己負担額(1割の場合) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 約50,320円 | 約5,032円 |
| 要支援2 | 約105,310円 | 約10,531円 |
| 要介護1 | 約167,650円 | 約16,765円 |
| 要介護2 | 約197,050円 | 約19,705円 |
| 要介護3 | 約270,480円 | 約27,048円 |
| 要介護4 | 約309,380円 | 約30,938円 |
| 要介護5 | 約362,170円 | 約36,217円 |
| ※上記は目安です。単位数や地域によって金額は異なります。 |
要支援・要介護認定を受けるための手続き完全ガイド

実際に介護保険サービスを利用するためには、お住まいの市区町村に申請し、要介護認定を受ける必要があります。ここでは、その手続きの流れを5つのステップで解説します。
STEP1:市区町村の窓口で申請する
まずは、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口や、地域包括支援センターで「要介護認定」の申請を行います。申請書は窓口でもらえるほか、自治体のウェブサイトからダウンロードできる場合もあります。申請は本人または家族が行いますが、地域包括支援センターなどに代行してもらうことも可能です。
STEP2:認定調査員による訪問調査を受ける
申請後、市区町村の認定調査員が自宅などを訪問し、本人と家族に聞き取り調査を行います。身体の動きや認知機能、日常生活の様子など、約70項目の質問を通して心身の状態を確認します。この調査結果が、認定の重要な資料となります。
STEP3:主治医の意見書を作成してもらう
市区町村から本人の主治医へ、「主治医意見書」の作成が依頼されます。これは、医学的な観点から心身の状態を判断するための書類です。かかりつけ医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診察を受ける必要があります。
STEP4:審査・判定が行われる
「訪問調査の結果」と「主治医の意見書」をもとに、まずコンピュータによる一次判定が行われます。その後、保健・医療・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」が、一次判定の結果や特記事項などを踏まえて総合的に審査し、どの介護度に該当するかを最終的に判定します。
STEP5:認定結果が通知される
申請から原則30日以内に、認定結果が記載された「介護保険被保険者証」が郵送で届きます。結果は「自立(非該当)」「要支援1・2」「要介護1〜5」のいずれかです。この結果に基づいて、ケアプランを作成し、サービスの利用を開始することになります。
押さえておきたい!適切な認定を受けるための準備とコツ

認定調査は、普段の生活の様子を正確に伝えるための大切な機会です。適切な認定を受けるために、いくつか準備しておきたいポイントがあります。
- 事前に困っていることをメモしておく
調査当日は緊張してしまい、伝え忘れることもあります。「どんなことで、どのくらい困っているか」を具体的に書き出しておくと安心です。 - 家族も必ず同席する
本人は無意識に「まだ大丈夫」と見栄を張ってしまうことがあります。普段の様子をよく知る家族が同席し、客観的な状況を補足説明することが重要です。 - ありのままの姿を見せる
調査員が来るからといって、普段より頑張りすぎないようにしましょう。いつも通りの、ありのままの様子を見てもらうことが、実態に合った認定につながります。 - 「できないこと」を具体的に伝える
「歩くのが大変」だけでなく、「家の中で5メートル歩くと、息切れして休まなければならない」のように、できるだけ具体的に伝えることを心がけてください。
要支援・要介護に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、要支援・要介護に関して多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。
Q. 要支援1と要支援2では、何が違うのですか?
A. 主に、利用できるサービスの量や頻度が異なります。例えば、週1回のデイサービスの利用が目安の要支援1に対し、要支援2では週2回程度の利用が可能になるなど、より手厚いサポートが受けられます。身体の状態としては、要支援2の方が、要支援1に比べて日常生活を送る能力がやや低下している状態とされています。
Q. 要支援でもケアマネジャーは担当してくれますか?
A. 厳密には、要支援の方のケアプランを作成するのは、お住まいの地域の地域包括支援センターの担当者です。要介護の方を担当するケアマネジャーとは担当窓口が異なります。まずは地域包括支援センターに相談しましょう。
Q. 認定結果に納得いかない場合はどうすればいいですか?
A. 認定結果に不服がある場合は、結果を知った日の翌日から3ヶ月以内であれば、都道府県に設置されている「介護保険審査会」に不服申し立てを行うことができます。また、区分変更の申請はいつでも可能ですので、状態が変化した場合は再度申請を検討するのも一つの方法です。
まとめ

今回は、「要支援」と「要介護」の違いについて、定義からサービス内容、手続きまで詳しく解説しました。最後に、この記事のポイントを振り返ってみましょう。
- 要支援は「介護予防」が目的で、自立した生活を続けるためのサポート。
- 要介護は「生活の介助」が目的で、日常生活を支えるための直接的な手助け。
- 認定区分によって、利用できるサービスの種類や費用の上限が大きく異なる。
- 適切な認定を受けるためには、訪問調査で普段の様子を具体的に伝えることが重要。
ご家族に介護が必要かもしれないと感じたら、一人で抱え込まず、まずはお住まいの地域包括支援センターに相談することから始めてみてください。専門家が親身に話を聞き、あなたに合ったサポートを提案してくれます。この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、次の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。