サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?費用やサービス、老人ホームとの違いを徹底解説
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用やサービス内容は?老人ホームとの違いも教えます

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?費用やサービス、老人ホームとの違いを徹底解説
「老後の住まい、どうしよう…」「最近よく聞く『サ高住』って、一体どんなところなんだろう?」
そんな風に思っていませんか。人生100年時代といわれる今、元気なうちから将来の住まいを考えることは、とても大切になっています。
この記事では、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」について、どこよりも分かりやすく解説します。費用やサービス内容、有料老人ホームとの違いから、あなたに合った施設の選び方まで、知りたい情報をすべて詰め込みました。
この記事を読めば、サ高住の全てが理解でき、漠然とした不安が「自分らしい選択」への希望に変わるはずです。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?まずは基本を解説

「サ高住(さこうじゅう)」という言葉、耳にする機会が増えましたよね。一言でいうと、高齢の方が安心して自由に暮らすために作られた、見守りサービス付きの「賃貸住宅」のことです。
老人ホームとは少し違う、新しい住まいのカタチといえるでしょう。
高齢者の安心な暮らしを支える「賃貸住宅」
サ高住の最大の特徴は、施設ではなく「賃貸住宅」であるという点です。
一般的なマンションやアパートと同じように、賃貸借契約を結んで入居します。そのため、これまでの暮らしと変わらず、自分のペースで自由な生活を送ることが可能です。
そこに、専門スタッフによる「安否確認」と「生活相談」という、安心のサービスが必ず付いているのがサ高住の魅力です。
サ高住の2つの種類「一般型」と「介護型」
サ高住には、提供されるサービスの内容によって「一般型」と「介護型」の2種類があります。ご自身の心身の状態や、将来希望する暮らし方に合わせて選ぶことが大切です。
どちらのタイプが自分に合っているか、それぞれの特徴を理解して、じっくり比較検討してみましょう。
一般型:自由な暮らしを重視する方向け
「一般型」は、自由度の高さを重視する方向けのサ高住です。
食事や掃除といった生活支援サービスは、必要なものだけを自分で選んで利用します。介護が必要になった場合は、外部の訪問介護サービスなどを個別に契約して利用するスタイルです。
まだお元気な方や、自分のペースを大切にしたい方におすすめです。
介護型:手厚い介護が必要な方向け
「介護型」は、施設のスタッフから直接、食事や入浴の介助といった介護サービスを受けられるサ高住です。
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、24時間体制で介護スタッフが常駐しているため安心感があります。
要介護度が高い方や、将来にわたって手厚い介護を希望される方に適したタイプといえるでしょう。
【一覧表で比較】有料老人ホームや他の高齢者向け施設との違い
「サ高住と有料老人ホームって、何が違うの?」
これは、多くの方が抱く疑問です。他にも特別養護老人ホーム(特養)など、高齢者向けの住まいはたくさんあって混乱してしまいますよね。
一番大きな違いは、契約形態と自由度です。
サ高住が「賃貸契約」で自由度が高いのに対し、多くの老人ホームは「利用権契約」で、施設ごとのルールの中で生活する点が異なります。
ここでは、それぞれの施設の特徴を表で比較してみましょう。
施設の種類 契約形態 自由度 介護サービス 主な入居対象者
サ高住(一般型) 賃貸借契約 ◎ 高い 外部サービスを利用 自立~軽度の要介護者
サ高住(介護型) 賃貸借契約 〇 比較的高い 施設スタッフが提供 軽度~重度の要介護者
介護付有料老人ホーム 利用権契約 △ 施設による 施設スタッフが提供 自立~重度の要介護者
住宅型有料老人ホーム 利用権契約 〇 比較的高い 外部サービスを利用 自立~軽度の要介護者
特別養護老人ホーム – × 低い 施設スタッフが提供 原則、要介護3以上
※上記は一般的な特徴であり、施設によって詳細は異なります。
このように、サ高住は「自宅」に近い感覚で、必要なサービスを自分で組み立てられるのが大きな特徴です。
サ高住で受けられるサービス内容とは?

サ高住の魅力は、自分に必要なサービスを柔軟に組み合わせられる点にあります。
サービスは、法律で提供が義務付けられている「基本サービス」と、施設ごとに用意されている「追加(選択)サービス」の2つに大別されます。
どのようなサービスがあるのか、具体的に見ていきましょう。
義務付けられている基本サービス
どのサ高住に入居しても、必ず受けられるのが「安否確認」と「生活相談」の2つのサービスです。
この基本的な見守りがあるからこそ、日々の暮らしに安心感が生まれます。
安否確認サービス
専門スタッフが、少なくとも1日1回は入居者の状況を確認するサービスです。
直接お部屋を訪問したり、食事の際に声をかけたり、各部屋に設置されたセンサーで確認したりと、施設によって方法はさまざま。
万が一の体調不良や緊急時にも、すぐに対応してもらえる体制が整っています。
生活相談サービス
暮らしの中での困りごとや不安を、専門の相談員にいつでも相談できるサービスです。
「体調が少し優れない」「役所の手続きが分からない」「近所の病院について知りたい」など、医療や介護に関することから日常のささいな悩みまで、親身にサポートしてくれます。
自分で選べる追加(選択)サービス
基本サービスに加えて、生活をより豊かに、より便利にするためのさまざまな選択サービスが用意されています。スーパーで買い物をするように、自分に必要なものだけを選べるのが大きなメリットです。
食事提供サービス
多くのサ高住では、栄養バランスの考えられた食事を施設内の食堂などで提供しています。
もちろん、自分の部屋のキッチンで自炊することも可能です。
「朝と夜だけ食堂を利用する」「体調が悪い時だけお願いする」といった、柔軟な使い方ができるのが嬉しいポイントですね。
生活支援サービス(清掃・買い物代行など)
日々の家事をサポートしてくれるサービスも充実しています。
具体的には、居室の清掃やゴミ出し、洗濯、日用品の買い物代行などがあります。「掃除は自分でやるけど、重い物の買い物はお願いしたい」など、ご自身の状況に合わせて必要なサポートを受けられます。
外部の介護・医療サービス
介護が必要になった場合、「一般型」のサ高住では、外部の事業者と契約してサービスを利用します。
ケアマネジャーと相談しながら、訪問介護(ホームヘルプ)やデイサービス、訪問看護などを組み合わせ、自分だけのケアプランを作成。住み慣れた自宅で、必要な介護を受けることができます。
サ高住の費用はいくら?初期費用から月額費用の内訳まで

住まいを選ぶ上で、費用のことは最も気になるところですよね。
サ高住は、有料老人ホームに比べて初期費用が抑えられる傾向にあり、入居しやすいのが特徴です。
ここでは、入居時にかかる「初期費用」と、毎月支払う「月額費用」の内訳を詳しく解説します。
入居時に必要な初期費用(敷金など)
サ高住の初期費用は、一般的な賃貸住宅と同じく「敷金」が中心です。
相場は家賃の2~3ヶ月分ほどで、数十万円程度が目安となります。
有料老人ホームで必要な数百万円から数千万円の「入居一時金」とは異なり、あくまでも家賃滞納や退去時の原状回復費用に充てられる預け金なので、負担が軽いのが大きなメリットです。
毎月かかる月額費用の内訳と相場
毎月支払う費用は、大きく分けて「家賃などの固定費」と「生活費などの変動費」で構成されます。
全国的な相場は、月額10万円~30万円程度ですが、立地やサービス内容によって大きく異なります。
家賃・管理費・共益費
建物の維持管理や共用部分の水道光熱費などに充てられる費用です。
これらは、一般的な賃貸住宅の家賃や管理費と同じものと考えてよいでしょう。都市部や駅の近くなど、立地が良いほど高くなる傾向があります。
基本サービス費
全ての入居者が支払う、安否確認サービスと生活相談サービスの費用です。
施設によって設定は異なりますが、月額1万円~5万円程度が相場です。この費用が、サ高住ならではの「安心料」といえるかもしれません。
生活費・その他サービス費
食費や居室の水道光熱費、電話代などの生活費は自己負担となります。
また、食事提供サービスや生活支援サービス、介護サービスなどを利用した場合は、その利用分に応じた費用が別途かかります。必要な分だけ支払う仕組みのため、無駄がありません。
知っておきたい家賃補助・補助金制度
サ高住の入居者に対して、国や自治体が家賃の一部を補助する制度があるのをご存知でしょうか。
所得が一定基準以下の高齢者を対象とした「家賃低廉化制度」など、経済的な負担を軽減できる可能性があります。
利用できるかどうかは、お住まいの自治体や入居を検討しているサ高住によって条件が異なるため、ケアマネジャーや窓口で一度確認してみることをおすすめします。
サ高住の入居条件と退去要件
自由な暮らしが魅力のサ高住ですが、入居するための条件や、逆に退去しなければならなくなるケースも存在します。
契約前にしっかりと確認し、安心して長く住み続けられる場所を選びたいものです。
入居できるのはどんな人?年齢や介護度の条件
サ高住に単身で入居する場合、原則として「60歳以上の方」が対象となります。また、60歳未満であっても、要介護認定や要支援認定を受けている方であれば入居できる場合があります。
夫婦で入居する場合は、どちらかが60歳以上であれば問題ありません。
多くの施設では自立して生活できる方が対象ですが、介護度の条件は施設によって異なるため、事前に確認が必要です。
退去しなければならないケースとは?
サ高住は「自宅」と同じ位置づけですが、共同生活の場でもあるため、退去要件が定められています。
例えば、認知症の症状が進行して他の入居者に迷惑をかけてしまう場合や、長期の入院で居室を不在にする場合などが挙げられます。
また、特に「一般型」では、常時介護が必要な状態になると、対応が難しくなり退去を求められる可能性もあるため、注意が必要です。
サ高住のメリット・デメリットを正直に解説
どんな住まいにも、良い面と注意すべき面があります。
サ高住が自分にとって最適な選択肢かどうかを判断するために、メリットとデメリットの両方を正直に見ていきましょう。
良い点だけでなく、知っておくべき点を理解することが、後悔しない住まい選びにつながります。
サ高住に入居する3つのメリット
サ高住には、他の高齢者向け施設にはない、独自の魅力がたくさんあります。
ここでは、代表的な3つのメリットをご紹介します。
プライバシーが守られ自由度が高い
サ高住は、各居室が独立したプライベートな空間です。
外出や外泊、家族や友人の訪問も基本的に自由で、まるで自分の家に住んでいるかのように過ごせます。
施設で定められたスケジュールに縛られることなく、自分のライフスタイルを大切にしたい方にとって、この自由度の高さは最大のメリットといえるでしょう。
初期費用が比較的安く入居しやすい
有料老人ホームのように高額な入居一時金が不要なため、初期費用を大幅に抑えることができます。
「貯蓄はあまりないけれど、安心できる住まいに移りたい」と考えている方にとって、入居のハードルが低いのは大きな魅力です。
まとまった資金がなくても、比較的スムーズに新しい生活をスタートできます。
必要なサービスを自分で選択できる
介護サービスや生活支援サービスを、自分に必要な分だけ選んで組み合わせられる「アラカルト方式」もメリットの一つです。
まだ元気なうちは最低限のサービスだけを利用し、身体の状態に合わせて追加していくことができます。
これにより、不要なサービスに費用を支払うことなく、合理的で無駄のない暮らしが実現可能です。
知っておくべき2つのデメリット
魅力的なサ高住ですが、入居後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、デメリットもしっかりと理解しておくことが重要です。
介護度が上がると住み続けられない場合がある
特に「一般型」のサ高住では、24時間体制の介護サービスは提供されていません。
そのため、将来的に寝たきりになるなど、常時介護が必要な状態になった場合、対応が難しくなり、退去して他の施設を探さなければならない可能性があります。
将来の心身の変化を見据えて、どこまでの状態なら住み続けられるのかを契約前に確認しておくことが大切です。
介護サービス費用が高額になる可能性がある
必要なサービスを自由に選べるのはメリットですが、裏を返せば、多くのサービスを利用すると費用がかさむということでもあります。
例えば、訪問介護の利用回数が増えたり、複数の生活支援サービスを頼んだりすると、月々の支払いが介護付き有料老人ホームの月額費用を上回ってしまうケースも。トータルでいくらかかるのか、事前にシミュレーションしておくと安心です。
あなたはどっち?サ高住への入居が向いている人の特徴
ここまでサ高住の特徴を見てきましたが、「結局、自分には合っているのかな?」と迷っている方もいるかもしれません。
ここでは、サ高住への入居がおすすめな人と、他の施設を検討した方がよい人の特徴をまとめました。ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
サ高住がおすすめな人
まだ元気で、自立した生活を送りたい人
自分のペースやプライバシーを大切にしたい人
人付き合いは、あまり干渉されない適度な距離感を好む人
いざという時の見守りがあれば、基本的には一人で大丈夫な人
入居時の初期費用はできるだけ抑えたいと考えている人
他の施設の検討をおすすめする人
24時間体制の手厚い介護や見守りが必要な人
認知症の専門的なケアを必要としている人
食事の準備や掃除など、身の回りのことは全てお任せしたい人
施設のレクリエーションなどに積極的に参加して、他の入居者と交流したい人
将来、介護度が重くなっても住み替えの心配をしたくない人
失敗しない!サ高住の選び方6つのポイント

「よし、サ高住を探してみよう!」と思ったら、次は具体的にどんな施設を選べばよいのでしょうか。
数多くのサ高住の中から、自分にぴったりの場所を見つけるための6つのチェックポイントをご紹介します。
立地と周辺環境は生活の質を左右する
自宅と同じように、立地は非常に重要です。スーパーや銀行、病院などが近くにあるか、散歩を楽しめる公園はあるかなど、日々の暮らしやすさを確認しましょう。
また、家族や友人が訪問しやすい場所かどうかも大切なポイント。実際に周辺を歩いてみて、街の雰囲気を肌で感じてみることをおすすめします。
費用は予算内で無理なく支払えるか
月々の費用が、ご自身の年金や貯蓄の範囲内で無理なく支払い続けられるか、長期的な視点で資金計画を立てましょう。
家賃や管理費だけでなく、将来利用する可能性のある介護サービス費なども含めて、トータルでどれくらいの費用がかかるのか、事前に施設側に詳しく確認しておくことが肝心です。
必要な介護・医療サービスを受けられるか
今は元気でも、将来的に介護や医療のサポートが必要になるかもしれません。
提携している医療機関はどこか、協力している訪問介護事業所はあるか、夜間や緊急時の対応体制はどうなっているかなど、万が一の備えについてもしっかりとチェックしておきましょう。
居室の広さや共用設備の充実度
毎日を過ごす居室は、快適な暮らしの基本です。
広さや間取り、日当たり、収納の量はもちろん、手すりの設置や段差の解消といったバリアフリー対応も確認しましょう。
また、食堂や談話室、大浴場といった共用スペースが、自分が心地よく過ごせる雰囲気かどうかも見学時に確かめたいポイントです。
食事の提供方法やメニューの内容
食事は日々の大きな楽しみの一つです。食堂で提供される食事の味付けやメニューのバリエーションは、生活の満足度に直結します。
見学時に試食ができる施設も多いので、ぜひ利用してみましょう。また、持病に合わせた治療食や、きざみ食などの形態食に対応してもらえるかも確認しておくと安心です。
看取りへの対応は可能か
「最期までこの場所で暮らしたい」と考える方は、看取りへの対応が可能かどうかも重要な確認事項です。
近年、看取りに対応するサ高住も増えてきていますが、施設の方針や体制によって異なります。
入居契約の際に、終末期のケアについての方針をきちんと説明してもらいましょう。
情報収集から入居までの4ステップ
自分に合ったサ高住を見つけるための、具体的なステップをご紹介します。
焦らず、一つひとつ丁寧に進めていくことが、満足のいく住まい選びのコツです。
ステップ1:情報収集と比較検討
まずはインターネットや自治体の窓口、地域包括支援センターなどで情報を集め、気になるサ高住のパンフレットを取り寄せましょう。
複数の施設をリストアップし、立地や費用、サービス内容などを比較検討します。
ステップ2:見学・相談
気になる施設が見つかったら、必ず見学に行きましょう。
居室や共用スペースの様子、スタッフや入居者の雰囲気を自分の目で確かめることが大切です。
分からないことや不安な点は、この機会に担当者に納得いくまで質問してください。
ステップ3:申し込み・入居審査
入居したい施設が決まったら、入居申込書を提出します。
その後、ご本人の心身の状態や、保証人の有無などを確認するための面談や審査が行われます。必要な書類などを事前に確認し、準備しておくとスムーズです。
ステップ4:契約・入居
審査に通ったら、賃貸借契約を結びます。
契約書の内容は非常に重要ですので、隅々まで目を通し、不明な点がないか最終確認をしましょう。
契約が完了すれば、いよいよ新しい生活のスタートです。
まとめ:サ高住は自分らしい老後を送るための選択肢
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、これまでの暮らしの「自由」と、プロによる見守りの「安心」を両立できる、非常に魅力的な住まいの選択肢です。
プライバシーを大切にしながら自分のペースで生活し、必要な時だけサポートを受けられるサ高住は、自立した老後を送りたいと考える多くの方にとって、理想的な暮らしを叶える場所となるでしょう。
もちろん、有料老人ホームなど他の施設が適している方もいます。
大切なのは、ご自身の価値観や心身の状態、経済状況をふまえ、「自分にとって何が一番大切か」を考えることです。
この記事が、あなたの輝くセカンドライフへの第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
まずは気軽に、気になるサ高住の見学から始めてみてはいかがでしょうか。